あんしん匠サポートセンター

解体業者の選び方

法人が罹災証明書を発行してもらうメリットについて

世界の国々と比較しても、日本は災害の多い国の一つです。そのため毎年各地で被害にあっている人々や法人があります。法人に関しては、自分たちの事務所だけでなく自社の従業員が被災した場合にも影響がでます。そればかりか取引先が自然災害によって被害にあった場合にも経営に大きく関わる問題へと発展するため、自然災害によっていつどこで影響をうけるか分からない状況といえるでしょう。今回は自然災害による被害を少しでも抑えるための罹災証明書に関して紹介していきます。

災害大国と呼ばれる日本では、地震や津波、台風、洪水、豪雪など、あらゆる自然災害の被害にあっています。ここ数年でも台風や豪雨による大きな被害は毎年のようにおこっています。そのため、被災による被害額も世界に比べても高い水準となっています。そうした中で法人が受けている被害も大きいといえます。ここでは自然災害を受けた法人にはどのような支援があるのかを中心にみていき、支援を受けるための罹災証明書を発行してもらうメリットについて紹介していきます。

 

災害が与える法人への影響


2019年に帝国データバンクが発表した自然災害に対する企業の対応状況調査では、企業の災害リスク対応は27%に留まっています。国や各地自体がハザードマップを作成し自然災害対策をしている一方で、各企業ではまだまだ災害に対する備えはできていません。そうした自然災害はどの程度法人に影響を与えているのでしょうか。今回はいくつかのデータを見ながら紹介していきます。

 

世界と比較した日本の災害について


日本の災害は、世界的に見ても災害が多い国の一つです。内閣府で作成された資料では、世界の災害と比較すると、マグニチュード6.0以上の地震の回数は日本は20.8%、活火山数は7%を占めています。その他にも台風や豪雨、豪雪など、毎年のように大規模な災害が日本でおきているた、まさに災害大国と言える状況です。災害被害額を見てみても世界の19.3%にも及び、非常に高い災害の被害を受けていることが分かります。

 

日本の災害の状況について


災害大国の日本ですが、中小企業庁で作成された資料では、発生件数で比較すると台風が57.1%と最も多く発生しており、続いて地震が17.9%、洪水が14.7%と続いています。こうした自然災害の発生件数は毎年変動はしていますが、中長期的に見てみると増加傾向にあります。さらに、被害状況を見ても年々増加傾向にありますが、特に1995年におきた阪神・淡路大震災や2011年におきた東日本大震災のような大きな地震がおきると、被害も一気に跳ねあがります。

 

法人の被害状況について


こうした自然災害により、災害地域に住んでいる一般住民だけではなく、企業も被害にあっているため、経済にも影響を与えているのです。日本の全企業数の99.7%、従業員数も68.8%占めている中小企業を例にとってみても、2019年版中小企業白書で被害状況が掲載されていますが、2018年年度は西日本豪雨では4,738億円、度重なる大規模な3度の台風では99億円、北海道胆振東部地震では42億にも及ぶ中小企業の被害が出ているのです。自社が被災した被害だけではなく、取引先や顧客が被災した場合も、企業にとって損害が出ることからも、災害に対する対策は企業にとって常に考えなければいけない問題の一つなのです。

 

災害への対策について


日本では災害に対する法律がいくつかあります。災害を防ぐための法律や災害が起きた場合の被害を最小限に抑えるための支援などの法律です。簡単にどのようなものがあるかを紹介していきます。

 

災害対策基本法について


災害に対する法律として国が定めているのが災害対策基本法です。1959年に紀伊半島に上陸し、5,000名以上の被害者を出した伊勢湾台風をきっかけに制定された防災に関する法律です。自然災害により国民の犠牲や経済的な損失を抑制することを目的として作られ、各官公庁などに防災計画の作成や実地などの体制づくりを義務付けています。また、災害対策基本法をベースに各市町村で作られているのが地域防災計画です。

 

災害救助法について


災害救助法とは、国が地方公共団体や日本赤十字社、その他の団体や国民の協力のもとに、被災者の保護と社会の秩序の保全を図ることを目的としている法律です。災害直後の応急的な生活の救助に対して発生するものが対象となります。避難所の設置や仮設住宅の供与、食品や飲料水、必需品の供与、医療の提供、被災者の救出などがあります。その他にも復旧や復興に際しては、被災者生活再建支援法や災害弔慰金法などの法律もあります。

 

法人が災害にあった場合の支援


災害に関しては、被災者を保護するためにいろいろと法律で定められていますが、企業に対しても支援があります。こちらでは税制上の観点からの支援をいくつか紹介してきます。

 

法人税や所得税に関する支援


企業や取引業者、従業員が被災した場合は、法人税に関しては、取引先に対する災害見舞金や取引先に対する売上金の免除取引先に対する低利や無利息の融資を行った場合は、税金が優遇されます。所得税に関しても、個人が支払いを受ける災害見舞金低利又は無利息により生活資金の貸付けを受けた場合の経済的利益にかんしても税金で優遇されるようになっています。その他災害により損壊した資産や復旧のための費用、従業員等に対する見舞金などによるものは通常の経理の計上とは異なる計上が可能になるため、法人税や所得税も優遇されるのです。


登録税の減税


登録税とは一定の事項を法務局の登記簿に記録して権利関係を公示する登記手続き申請時に国に治める税金のことです。自然災害で住居や事務所などの建物が被害にあった人や、それを相続した人などが、災害で消失した建物に代わるものとして新築や取得した建物の所有権の保存や移転登記などに対する登録免許税に関しては、自然災害発生後の5年以内までは免除されます。これは平成28年4月1日以降に発生した自然災害によって被害を受けた人の登記申請が対象となっています。

 

その他の支援


災害の被害にあった場合は、申告や納付の期限の延長や納税の一定期間の猶予をしてくれる制度があります。申告や納付の期限の延長に関しては、国税庁から地域や対象者を指定して期限が延長される場合がありますが、税務署に申告・納付等の期限延長を個別で申請をすることで承認される場合もあります。また、納税に関しては個別に申請することで1年間の猶予の可能性もでてきます。その他、不動産の譲渡に関する契約書の印紙税の免除があったりとする場合があるなど、他にも様々な支援があるため、被害状況に応じて、関係各所に申請は忘れずにしましょう。

 

法人の罹災証明書の発行について


法人で自然災害の被害にあった場合の公的支援には、被害の程度を証明する罹災証明書の発行が必要です。罹災証明書とはどういうもので、どのような手続きが必要となるのかみていきます。

 

罹災証明書を発行してもらうメリット


法人が被災した場合には、個人と同様に様々な公的支援が受けることができますが、公的支援を受けるために罹災証明書の発行が必要となってきます。罹災証明書には被災した被害の程度が記されています。被災状況に応じて受け取ることができる支援もかわってくるうえに、被災した証明として、提出することにより、これまで見てきた様々な支援が受けることが可能となるのです。被災した場合は会社としても罹災証明書を発行してもらうと同時に、従業員や取引先、顧客にも罹災証明書の発行をしてもらうように伝えておきましょう。

 

罹災証明書と被災証明書について


罹災証明書とは、住まいとして使用している家屋がどれくらいの被害にあったかを証明するものです。似ている証明書としては被災証明書があります。こちらは家屋以外の家財や車両などの被害について、住んでいるところの市町村へ被災の届け出をした事実について証明するもので、被害の程度について証明するものではありませんが、こちらも社用車の被害にあった場合は自動車重量税の還付を受けることができる場合もあるため、あわせて申請しておきましょう。ただし、くれぐれも二つを混同することのないように気をつけてください。

 

罹災証明書の発行について


罹災証明書の発行は自然災害の内容が火災であれば管轄の消防署ですが、その他の自然災害であれば市町村の担当部署への届け出が必要です。必要な書類としては個人の申請と同様に、罹災証明書の交付申請書と被害状況が確認できる写真と本人確認書類が必要です。申請者が代表者の場合は本人確認書類だけですが、社員が申請する場合は社員証等も必要となってきます。さらに、法人の場合は法人登記事項証明書や代表事項証明書など法人名と所在地、代表者名が確認できる書類も必要であることは覚えておいてください。基本的な発行の流れは個人申請と変わらず、自治体の担当者が現地確認をした後に被害程度を記した罹災証明書が発行されます。発行された罹災証明書はいろいろな公的支援などに利用できるので大事にとっておいてください。

 

まとめ


以上、自然災害によって法人が被災した場合の対応について紹介していきました。罹災証明書は個人だけではなく、法人にとっても被害の程度を証明する大切な書類です。せっかく受け取れるはずの公的支援も受け取れなくなる可能性もあるため、罹災証明書は発行しておきましょう。さらに、関係している取引先や顧客、従業員に対しても、まだ罹災証明書を発行していない人がいれば勧めて、少しでも企業に影響を及ぼす被害が最小限になるよう努力してください。

2021.7.3