丈夫な鉄筋コンクリート住宅はどうやって解体する?その費用と注意点まとめ
鉄筋コンクリート造の住宅は、とても丈夫で心強いもの。災害にも強く、子供の代になっても住み続けることができるほど頑丈です。ところが、解体する段になると、がっちり組み合わされた鉄筋とコンクリートの分別や、大きな壁の取り壊しなど、大変な工程も多くなり、いろいろな機械や高度な技術が必要になります。必然的に、解体できる業者も限られてくるのが実情。今回は、そんな鉄筋コンクリート住宅の解体費用や、気をつけたほうが良いことなどをご紹介します。
鉄筋コンクリート住宅は、鉄筋を組み上げたのち、型枠を作って中にコンクリートを流し込んで作ります。コンクリートは圧力がかかった時に壊れにくく、逆に外側に引っ張られると崩れてしまいやすいのです。そこで、中に引張力に対して強い鉄筋を入れることで弱点を補い、頑丈な建物を作っているのです。
>鉄筋コンクリート住宅の解体費用
木造住宅であれば、解体費用の目安は一坪あたり3~5万円ですが、鉄筋コンクリートの住宅は、木造の約2倍程度の費用となる、一坪あたり6万円から10万円が相場です。40坪の住宅であれば、木造の場合120万円から、鉄筋コンクリートであれば240万円からが相場になります。もし、坪単価が相場よりも5千円以上安かった場合は、やや危ない見積もりかもしれません。産業廃棄物を違法なやり方で処分する業者だったり、工事が始まってから追加で費用を請求されたりして、トラブルになる可能性があるので気をつけましょう。
>鉄筋コンクリート住宅の解体業者の選び方
鉄筋コンクリート造の住宅は、なかなか簡単に壊されてくれません。さらに、両側の家とほとんど距離がなかったり、区画の真ん中にあって重機が入れなかったりするような難しい立地条件の住宅になってくると、複数の専門的なスキルを保有している、腕の確かな解体業者でなければ壊せなくなってきます。見積もりを取れる業者もやや少なくなるとは思いますが、壊し方によっては見積もりの合計金額が違ってくることもあるので、可能であれば複数の解体業者をじっくり比べましょう。4月から6月であれば、解体業者も比較的手が空いているので、その時期を狙って解体工事を計画するのもありです。
鉄筋コンクリート住宅を解体する時には、近所への挨拶が欠かせません。粗品を用意して、解体業者と一緒になるべく多くの家を回りましょう。木造住宅に比べると工期が長くなるので、近隣の家にはその旨を伝え、道路の使用許可や工事看板を通りからよく見える場所に出しましょう。
>解体工事に先立つ近隣あいさつ
鉄筋コンクリート住宅を壊す時には、通常の解体よりも大きな振動が発生するので、近隣の家にひびが入ったり、タイルが剥がれたりすることがあります。それらが解体工事のせいで発生したのかどうかを調べるため、隣接する家には事前に「家屋調査」をお願いし、住宅の写真や測量の記録を残しておきましょう。
>アスベスト除去工事について
1975年以前の建物には、アスベストが使われている可能性があります。断熱材として扱いやすく、吹き付け等で色々な場所に使われていました。特に、内壁の裏側には、断熱材として飛散しやすいアスベストが使われています。危険性の高いアスベストは、外に出ることのないようにほぼ密閉した状態での除去作業が必要になってきます。100万円以上見積もりが膨らむこともありますが、中皮腫や肺がんの原因になる危険な物質なので、使われているかどうか検査で確かめるいつようがあります。
>足場を組み、養生シートを張る
家屋調査が済んだら、建物の高さよりも高い位置まで足場を組んで、養生シートで現場をすっぽり覆います。これは、建物を壊す時に重機で壊したり、削ったりするので、振動や音が伝わりやすくなるためです。重機で作業すると衝撃で粉塵が舞い上がることがあるので、なるべく高い位置まで養生シートを上げるようにします。通行人が万一にもケガをしないように、隙間がないように確認することも大切です。
>鉄筋コンクリート住宅本体の解体
現場にも重機が入ると、いよいよ解体が始まります。鉄筋コンクリート造の建物を壊すには、3つの代表的な工法があります。まずは「大型ブレーカ工法」といって、大型のブレーカー(破砕機)をショベルカーの先端に取り付けて、コンクリートを削り取る工法です。巨大な機械で威力も大きいので、解体作業はスムーズに進むのですが、削られるコンクリートが立てる音や振動が大きく、粉塵が舞うという欠点もあります。それに比べると、「圧砕機工法」はコンクリートに圧力を加えて破砕したり切断するので、振動や騒音が少なく、作業効率も高い工法です。油圧式が普及しています。そして、外壁や柱などの高くて解体しづらい部分は、ワイヤーや重機で静かに倒します。倒す方向や場所をめがけてきちんと倒すには、職人同士の連携と高い技術が必要です。
鉄筋コンクリート造の住宅は、総重量が重くなる傾向があります。造成地や砂地などで地盤が緩かった場合には、建物が傾くことのないよう、しっかりした固い地盤に杭を打って建物を支えます。こうした基礎杭の数は、数本から、多いときには数十本に及びます。昔はそのまま埋め戻してしまう解体業者も存在していたのですが、現在は建設リサイクル法で禁止されているので、施主の責任において1つ残らず撤去することになります。
>杭の引き抜き工事と追加費用について
杭の引き抜き工事は、固い地盤まで鉄やコンクリート製の杭を打ち込む「支持杭」や、土壌と杭の摩擦力で建物を支える「摩擦杭」、鋼の管にコンクリートを流し込んだ「鋼管杭」などがあり、それぞれ引き抜き費用は違います。住宅を建てた時の図面が残っていれば、見積もりの際に業者に見てもらい、撤去費用を概算してもらうことができます。一概には言えませんが、費用は数十万円から数百万円に及ぶこともあります。ある鉄筋コンクリート住宅は1つの敷地に6mの杭を30本打っており、撤去費用は総額で500万円を超えました。ここまで費用が高くなることも珍しいのですが、追加費用が発生しやすい部分ではあるので、どんな場合に追加費用が発生し、それはいくらになるのかをよくシミュレーションしておくことが大切です。
>鉄筋コンクリートのリサイクル
解体工事中に出た鉄筋コンクリートについては、2000年から施行されている「建設リサイクル法」において再資源化することが決められています。まず、建物をライフラインを生かすための設備、屋根、壁や床の順番で解体し、最後に基礎を壊します。コンクリートの中に埋まっている鉄筋を取り出し、分別しながら順次処分場に運びます。こうして出たコンクリートのガラは、路盤の骨材などとして再利用されます。鉄筋は鉄のリサイクル業者に買い取ってもらうことができますが、コンクリートが付着しているので、そこまで価値は高くなりません。
とても頑丈だからこそ、解体する時にはとても手間がかかる鉄筋コンクリートの住宅。解体費用も木造住宅の2倍以上、資源としてリサイクルするためには鉄筋とコンクリートを分ける必要もあるので、分別解体をしっかりやり遂げるには出費も覚悟しなければなりません。見積もり段階で予想していたよりも多くの費用がかかり、後からこの業者で良かったのかと悩むようなことがないよう、事前の打ち合わせはしっかり行いましょう。解体に関しては苦労が多いとはいえ、鉄筋コンクリート住宅ならではのメリットもたくさんあったはず。お世話になった建物に感謝の気持ちを込めて見送りたいものですね。
鉄筋コンクリート住宅の解体について
鉄筋コンクリート住宅は、鉄筋を組み上げたのち、型枠を作って中にコンクリートを流し込んで作ります。コンクリートは圧力がかかった時に壊れにくく、逆に外側に引っ張られると崩れてしまいやすいのです。そこで、中に引張力に対して強い鉄筋を入れることで弱点を補い、頑丈な建物を作っているのです。
>鉄筋コンクリート住宅の解体費用
木造住宅であれば、解体費用の目安は一坪あたり3~5万円ですが、鉄筋コンクリートの住宅は、木造の約2倍程度の費用となる、一坪あたり6万円から10万円が相場です。40坪の住宅であれば、木造の場合120万円から、鉄筋コンクリートであれば240万円からが相場になります。もし、坪単価が相場よりも5千円以上安かった場合は、やや危ない見積もりかもしれません。産業廃棄物を違法なやり方で処分する業者だったり、工事が始まってから追加で費用を請求されたりして、トラブルになる可能性があるので気をつけましょう。
>鉄筋コンクリート住宅の解体業者の選び方
鉄筋コンクリート造の住宅は、なかなか簡単に壊されてくれません。さらに、両側の家とほとんど距離がなかったり、区画の真ん中にあって重機が入れなかったりするような難しい立地条件の住宅になってくると、複数の専門的なスキルを保有している、腕の確かな解体業者でなければ壊せなくなってきます。見積もりを取れる業者もやや少なくなるとは思いますが、壊し方によっては見積もりの合計金額が違ってくることもあるので、可能であれば複数の解体業者をじっくり比べましょう。4月から6月であれば、解体業者も比較的手が空いているので、その時期を狙って解体工事を計画するのもありです。
鉄筋コンクリート住宅の解体工事に向けた準備と流れ
鉄筋コンクリート住宅を解体する時には、近所への挨拶が欠かせません。粗品を用意して、解体業者と一緒になるべく多くの家を回りましょう。木造住宅に比べると工期が長くなるので、近隣の家にはその旨を伝え、道路の使用許可や工事看板を通りからよく見える場所に出しましょう。
>解体工事に先立つ近隣あいさつ
鉄筋コンクリート住宅を壊す時には、通常の解体よりも大きな振動が発生するので、近隣の家にひびが入ったり、タイルが剥がれたりすることがあります。それらが解体工事のせいで発生したのかどうかを調べるため、隣接する家には事前に「家屋調査」をお願いし、住宅の写真や測量の記録を残しておきましょう。
>アスベスト除去工事について
1975年以前の建物には、アスベストが使われている可能性があります。断熱材として扱いやすく、吹き付け等で色々な場所に使われていました。特に、内壁の裏側には、断熱材として飛散しやすいアスベストが使われています。危険性の高いアスベストは、外に出ることのないようにほぼ密閉した状態での除去作業が必要になってきます。100万円以上見積もりが膨らむこともありますが、中皮腫や肺がんの原因になる危険な物質なので、使われているかどうか検査で確かめるいつようがあります。
>足場を組み、養生シートを張る
家屋調査が済んだら、建物の高さよりも高い位置まで足場を組んで、養生シートで現場をすっぽり覆います。これは、建物を壊す時に重機で壊したり、削ったりするので、振動や音が伝わりやすくなるためです。重機で作業すると衝撃で粉塵が舞い上がることがあるので、なるべく高い位置まで養生シートを上げるようにします。通行人が万一にもケガをしないように、隙間がないように確認することも大切です。
>鉄筋コンクリート住宅本体の解体
現場にも重機が入ると、いよいよ解体が始まります。鉄筋コンクリート造の建物を壊すには、3つの代表的な工法があります。まずは「大型ブレーカ工法」といって、大型のブレーカー(破砕機)をショベルカーの先端に取り付けて、コンクリートを削り取る工法です。巨大な機械で威力も大きいので、解体作業はスムーズに進むのですが、削られるコンクリートが立てる音や振動が大きく、粉塵が舞うという欠点もあります。それに比べると、「圧砕機工法」はコンクリートに圧力を加えて破砕したり切断するので、振動や騒音が少なく、作業効率も高い工法です。油圧式が普及しています。そして、外壁や柱などの高くて解体しづらい部分は、ワイヤーや重機で静かに倒します。倒す方向や場所をめがけてきちんと倒すには、職人同士の連携と高い技術が必要です。
鉄筋コンクリート住宅の地盤改良工事と整備
鉄筋コンクリート造の住宅は、総重量が重くなる傾向があります。造成地や砂地などで地盤が緩かった場合には、建物が傾くことのないよう、しっかりした固い地盤に杭を打って建物を支えます。こうした基礎杭の数は、数本から、多いときには数十本に及びます。昔はそのまま埋め戻してしまう解体業者も存在していたのですが、現在は建設リサイクル法で禁止されているので、施主の責任において1つ残らず撤去することになります。
>杭の引き抜き工事と追加費用について
杭の引き抜き工事は、固い地盤まで鉄やコンクリート製の杭を打ち込む「支持杭」や、土壌と杭の摩擦力で建物を支える「摩擦杭」、鋼の管にコンクリートを流し込んだ「鋼管杭」などがあり、それぞれ引き抜き費用は違います。住宅を建てた時の図面が残っていれば、見積もりの際に業者に見てもらい、撤去費用を概算してもらうことができます。一概には言えませんが、費用は数十万円から数百万円に及ぶこともあります。ある鉄筋コンクリート住宅は1つの敷地に6mの杭を30本打っており、撤去費用は総額で500万円を超えました。ここまで費用が高くなることも珍しいのですが、追加費用が発生しやすい部分ではあるので、どんな場合に追加費用が発生し、それはいくらになるのかをよくシミュレーションしておくことが大切です。
>鉄筋コンクリートのリサイクル
解体工事中に出た鉄筋コンクリートについては、2000年から施行されている「建設リサイクル法」において再資源化することが決められています。まず、建物をライフラインを生かすための設備、屋根、壁や床の順番で解体し、最後に基礎を壊します。コンクリートの中に埋まっている鉄筋を取り出し、分別しながら順次処分場に運びます。こうして出たコンクリートのガラは、路盤の骨材などとして再利用されます。鉄筋は鉄のリサイクル業者に買い取ってもらうことができますが、コンクリートが付着しているので、そこまで価値は高くなりません。
終わりに
とても頑丈だからこそ、解体する時にはとても手間がかかる鉄筋コンクリートの住宅。解体費用も木造住宅の2倍以上、資源としてリサイクルするためには鉄筋とコンクリートを分ける必要もあるので、分別解体をしっかりやり遂げるには出費も覚悟しなければなりません。見積もり段階で予想していたよりも多くの費用がかかり、後からこの業者で良かったのかと悩むようなことがないよう、事前の打ち合わせはしっかり行いましょう。解体に関しては苦労が多いとはいえ、鉄筋コンクリート住宅ならではのメリットもたくさんあったはず。お世話になった建物に感謝の気持ちを込めて見送りたいものですね。
2020.1.20