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解体業者の選び方

コンクリート打ちっ放しの住宅の解体はどうする?費用や工事の流れを解説

コンクリート打ちっ放しは、モダンな趣向のデザイナーズ物件でよく使われる、意匠性の高い仕上げです。ダイナミックな空間づくりや自由な設計ができるので、空間デザインにこだわりのある層の購入者に人気です。建物としてみても、とても頑丈でコンクリートそのものの寿命も長いのですが、美観的面には、汚れやヒビができやすい面もあります。思い入れのある建物である反面、建物の外観が劣化していくと、メンテナンスも大変です。維持にかかる手間と費用を天秤にかけて、解体を決める人もいるようです。

普通の住宅解体と同じに考えて良いのか



コンクリート打ちっ放しの住宅は、外側から見ると住宅というよりビルのように見えなくもありません。頑丈なコンクリート造の建物をどうやって壊したらいいのか、想像もつかない人も多いでしょう。実際の解体過程についてはそれほど木造住宅と違う訳ではありません。重機や人の手によって壊すのは同じです。では、どこが違って、どれくらい費用に差があるのでしょうか。そのポイントを解説していきます。

>コンクリート打ちっ放しの住宅は鉄筋コンクリート造

最近では木造にモルタルを塗った「コンクリート打ちっ放し風」の住宅もあるにはあるのですが、それはまた別の話。本物のコンクリート打ちっ放しの住宅であれば、建物の構造は鉄筋コンクリート造です。コンクリート打ちっ放しの住宅であっても、普通の鉄筋コンクリート造と同じように計算できます。気になる一坪あたりの解体費用は、木造住宅の平均が約3-5万円(40坪の住宅で120万円から)に対し、鉄筋コンクリート造の住宅は約6-10万円(40坪の住宅で)。コンクリート打ちっ放しの住宅も同じです。建物だけでなく基礎もしっかりしているので、およそ木造住宅の2倍くらいの費用がかかるでしょう。値段は首都圏か地方か、また建物の立地条件が良いか悪いかによっても変わってきます。見積もりは複数取りましょう。

>コンクリート打ちっ放し住宅は寿命が早い?

コンクリートの耐久年数は100年と言われていますが、もともと丈夫な素材で、配合や製法をきちんと守り、表面を保護した場合には半永久的に使うことができます。しかし、コンクリート打ちっ放しの住宅はタイルやペンキで保護されているわけではないので、シンプルな外壁に雨が降り、泥や油がつくと、黒いしみになって目立ちやすいという弱点もあります。商業施設などでは外観の美しさが損なわれてきたタイミングで、建て替えに踏み切るケースもあるようです。

建設リサイクル法とコンクリート打ちっ放し住宅



建設リサイクル法は、建物を分別解体し、リサイクルに回すことを義務付ける法律です。解体した住宅は「木材」「コンクリート」「プレキャスト板」「アスファルト・コンクリート」などに分けられ、それぞれの処分場に持ち込まれてリサイクルされることになります。コンクリート打ちっ放し住宅は、見ての通りシンプルな構造です。使われている建材の種類もあまり多くなく、仕分けるのが簡単なので再生処理に回しやすいというメリットがあります。通常の鉄筋コンクリート造に比べると、手間がかからない分工期も短くなり、処分費用は若干安めになります。

>内装をはがさなくていいコンクリート打ちっ放し住宅

コンクリート打ちっ放し住宅の場合は、書いて字の通りコンクリートがむき出しの状態になっているので、内装材がほとんど使われていません。通常の住宅解体では、内装を職人が手で壊して分別するように法律で決められているため、時間と手間がかかる上に解体費用も上乗せされるのですが、コンクリート打ちっ放しの住宅はその工程が不要です。工期は短くなり、人件費も安くなります。ただし、木製家具などの残置物は、建物と一緒に壊すとコンクリートガラに混ざってしまって分別が大変なんどえ、解体工事が始まる前に運び出しておく必要があります。

>コンクリート打ちっ放し住宅のリサイクル処理

鉄筋コンクリートの住宅は、資格を持ったオペレーターが重機を使って少しずつ崩したり、大きな構造物を一気に倒したりしながら壊します。鉄筋が入った状態で廃材となったコンクリートは、そのまま現場で粗く砕き、中から出てきた鉄筋を抜き取って、分別します。鉄筋は鉄の再生業者に売ることもできますが、純度が低いので、あまり高値はつかないようです。一方、粉砕コンクリートの方は「コンクリートガラ」として再生材になります。産業廃棄物の処分費用は、コンクリートガラが1トン当たり1,500円程度。このほか、遠くの処分場にトラックで運ぶための運搬費用や人件費がかかるので、そのつもりで予算を組みましょう。処分場との距離や解体する建物の規模によって、かなり金額は違ってくるので、詳しくは業者に確認すると良いでしょう。

コンクリート打ちっ放し住宅の壊し方



コンクリート打ちっ放しかそうでないかで、鉄筋コンクリート造の住宅の印象がかなり変わるのは事実です。しかし、建物としてみれば内装があるかないかの違いだけ。解体の方法はそれほど変わりません。丈夫なコンクリートを壊す際に近隣に迷惑がかからぬよう、しっかりと養生シートで覆い、周囲にコンクリートの破片が飛び散らないように細心の注意を払いましょう。技術的には木造より難易度が上がるため、職人さんが解体中に落下したり、転倒したりして負傷するケースも報告されています。解体業者にはしっかり安全対策をしてもらいましょう。

>頑丈な構造を重機で壊す解体

これも鉄筋コンクリート住宅も同じなのですが、コンクリート打ちっ放しの住宅は、壁で建物を支えていることが多く、厚くて頑丈にできています。こうした構造体は、破砕機を使ったり、圧砕機を使ったりしながら、少しづつ削ったり砕いたりして壊します。さらに、高い外壁や柱などの解体しづらい立派な構造物は、ワイヤーをかけて重機で引き倒して粉砕します。危険を伴う工事なので、施工する側には解体技術と経験が必要です。

>基礎部分の解体工事

コンクリート基礎の解体は、工事における最大の難所かもしれません。頑丈な鉄筋コンクリートの住宅を支えていた基礎なので、掘り出すとかなり分厚いコンクリートが板状に張り巡らされており、梁もがっしりとした大きなものです。地中にあるので掘り起こしながら解体をしますが、土を取り除きながら大型の構造物を壊していくのはかなり骨が折れます。

>基礎杭の引き抜き工事

鉄筋コンクリート造の建物は重量があるので、地盤が軟弱であれば、建物を支えていた杭を引き抜く工事も必要になります。住宅を支える基礎杭の長さは、だいたい10-15mほど。杭の周囲に、一回り大きな鋼管を打ち込み、土の圧力を受け止めてから、中の杭を引き上げます。この引き抜き工事には、専用の重機が必要で、解体工事とはまた別個の工事といっても良いでしょう。極端な話、費用の面でも建物の解体以上の金額になる可能性があります。そのままにするという選択肢もありますが、もしも住宅を転売するならば、必ず引き抜いた上で更地に戻す必要があります。

おわりに



コンクリート打ちっ放しの住宅は珍しいので、いざ解体することが決まると惜しくなる人もいるとか。あいさつ回りで「お宅がなくなるとこの辺りの目印がなくなってしまいますね」と近所のお年寄りに言われ、解体を中止してしまったオーナーもいたそうです。一見、特異なデザインが際立つコンクリート打ちっ放しの住宅ですが、建物としては鉄筋コンクリートの住宅と同じです。内装材がないぶん、費用はやや安めになる計算です。着工が決まったら、頑丈なので、なるべく周囲に配慮をしながら解体しましょう。多くの人に愛されてきた素敵なコンクリート打ちっ放しの物件。最後まで円満に解体できるよう、しっかり準備して工事に臨んでください。

2020.1.15