守らなければ罰金が発生するかも?建設リサイクル法とその内容のまとめ
建設リサイクル法は、工事の発注者と受注者に、廃材のリサイクルを義務付ける法律です。一定規模の解体工事であれば、この法律に従うことになります。施主には、事前に役所に届け出ることや、廃棄物のリサイクル計画についての業者との申し合わせ、リサイクル費用の負担を義務づけており、もし怠ると、20万円以上の罰金が発生します。建設リサイクル法に関する役所への届け出書類は、慣習的に解体業者が代理提出する場合がほとんどではありますが、それなりの費用を負担することになるので、一通りの内容は理解しておきたいところですね。
建築リサイクル法は、産業廃棄物の不法投棄や、ゴミの埋立地の不足などの社会問題を背景に、2000年から施行された法律です。床面積が80平方メートル以上の建物の解体で適用されます。施主は、工事の届け出と分別解体の依頼、廃材のリサイクル費用に責任を持ち、受注者は、解体方法や産業廃棄物の処理方法を明らかにした上で、リサイクルが完了するまでのプロセスを記録した書類を作成して、役所に報告することになります。役所はそれを追跡調査し、産業廃棄物が正しく処分されたかどうか確認することになっています。
>どんな書類を提出するのか
解体工事のスケジュールが決まったら、なるべく早い時期に、市区町村の建築指導課や建築安全課に届け出に行きましょう。法律では解体工事が始まる7日前までの提出が義務付けられています。どのような工事で何日かかるのか、道路を使用するのか、リサイクル処理をする業者やリサイクルの方法についても報告します。施主が関わる書類としては、大まかに
・解体工事の計画書(工事概要や産業廃棄物の見込み量)
・分別や解体の計画書(解体作業や道路の使用予定、リサイクル費用)
・解体現場までの案内図
・解体する建物の設計図もしくは写真
・工程表
があります。書面一式は各自治体のホームページからダウンロードできますが、解体業者があらかじめ用意してくれることが多いようです。
>もし届け出を忘れてしまったら
建設リサイクル法の届け出が遅れると、役所から届け出に関する通達が届きます。それでも従わなければさらに勧告が届き、次いで罰則が発生します。通常は作業が始まる前に解体業者が提出するものですが、あくまで実行責任は施主の側にあります。もし通達が届いてしまったら、早めに解体業者に連絡しましょう。すぐに手続きをすれば大丈夫です。
建設リサイクル法では、廃材を再利用するためのさまざまな方法が決められています。1990年代には、解体現場で建物を粉砕し、廃材を丸とご4トントラックで搬出する「ミンチ解体」という手法がスタンダードでしたが、廃材は産業廃棄物としてそのまま処分していたので、ゴミが増える一方でした。建築リサイクル法が施行されてからは、産業廃棄物は分別ののちそれぞれの処理業者に引き渡され、再生材として再び市場に流通するようになりました。取り壊す時にも、後で分別がしやすいよう「手壊し」などの方法がとられるようになり、以前よりやや工期が長びく傾向にあり、人件費も上乗せされるようになりました。
>建築リサイクル法に基づいた解体と処分費用
建築リサイクル法では、効率よく廃材を分別するために、建物の解体手順が細かく決められています。まずは水・電気・ガスなどを使えるようにする台所や空調、照明の設備やその配線、配管を取り外し、続いて、建物を覆っていた屋根ふき材を取り外し、空間を作っていた壁や柱を取り壊していきます。ほとんど上に建っていたものがなくなった状態で、最後に土間コンクリートを壊し、あれば家を支えていた基礎ぐいも取り外していきます。職人さんが手作業で取り壊すように定められた部分も存在します。
>解体現場の管理者に求められる資格
建築リサイクル法では、住宅を解体する業者には必ず「土木工事業」、「建築工事業」または「解体工事業」の許可を求めています。経過措置として、令和元年6月1日までは、「とび・土工工事業」の許可を持っている業者でも解体工事をすることができましたが、移行期間が終了したため、この資格では不十分となりました。現場には技術管理者を配置する必要があり、「建設機械施工技士」「土木施工管理技士」「建築施工管理技士」などの有資格者が現場を監督することが決められています。
>廃材はどのようにリサイクルされるのか
建築リサイクル法によって、再資源化するように定められている建材は「木材」「コンクリート」「プレキャスト板」「アスファルト・コンクリート」などです。これらのうち、家の柱や床を作っていた木材は、燃料に使われたり、木質チップとしてバイオエタノールの原料になったり、繊維化されてファイバーボードの素材になります。基礎や構造体として使われていたコンクリートは、はつったり重機で粉々にして、道路の路盤材や骨材として再利用されます。駐車場や庭に使われるアスファルトは路盤材にとして再生したり、再生加熱アスファルト混合物となって、ふたたび日の目を見ることになります。全ての再生作業を自社の内部で行っている解体業者は稀で、通常は専門の処理業者やメーカーなどに委託して再生処理をしてもらいます。
>思いがけない形での違反もある
残念ながら、悪質な解体業者も存在します。住宅の解体後に出るゴミを山林などに不法投棄して、処分費用を横領していたり、分別をせずに処分してしまったようなケースもないわけではありません。こういった業者を見破ることはなかなか難しいのですが、方法の1つとして、廃材が最終処分されると、廃棄物処理の流れを記録した「マニフェスト票」を見せてもらうことが挙げられます。これは、すべてのリサイクル処理が終わった時点で必ず交付されるもので、以前に解体した住宅のマニフェスト票は必ず保存する義務があります。もし心配だったら、どこの処理業者と、いつ、どんな取引をしたのかを確認するために、マニフェスト票を見せてもらえないかお願いしてみましょう。
>違反した場合に課されるペナルティは20万円~
初めて解体工事をする人にはとても複雑な建築リサイクル法ですが、違反してしまったときには罰則や罰金といったペナルティが課せられますので、万一にもないように気をつけたいところです。工事の施主であれば、届け出を怠ると20~30万円、解体業者にリサイクルを依頼せず、費用を払わなかったなかった場合には50万円のペナルティがあります。工事全体で見ても大きな金額なので、気をつけましょう。
日常の中で解体工事に関わることがある人はあまりいません。知識もない中で、慣れない業者とのやりとりから始まり、住宅の解体工事の方法、廃材のリサイクルまで責任を持つことになるのは少々荷が重く感じられるかもしれません。しかし、建築リサイクル法に従って、廃材を正確に分別し、ゴミの適切な処分、再資源化に取り組めば、自分が出した産業廃棄物が環境を汚染することもなくなります。環境保護とは1人ひとりが取り組むもの。住宅の解体にまつわるこうした費用の支払いも、施主の責任のうちであり、住宅を建てたときから想定しておくべき予算のひとつとして認知しておくべきものではないでしょうか。
建築リサイクル法の概要と守るべきこと
建築リサイクル法は、産業廃棄物の不法投棄や、ゴミの埋立地の不足などの社会問題を背景に、2000年から施行された法律です。床面積が80平方メートル以上の建物の解体で適用されます。施主は、工事の届け出と分別解体の依頼、廃材のリサイクル費用に責任を持ち、受注者は、解体方法や産業廃棄物の処理方法を明らかにした上で、リサイクルが完了するまでのプロセスを記録した書類を作成して、役所に報告することになります。役所はそれを追跡調査し、産業廃棄物が正しく処分されたかどうか確認することになっています。
>どんな書類を提出するのか
解体工事のスケジュールが決まったら、なるべく早い時期に、市区町村の建築指導課や建築安全課に届け出に行きましょう。法律では解体工事が始まる7日前までの提出が義務付けられています。どのような工事で何日かかるのか、道路を使用するのか、リサイクル処理をする業者やリサイクルの方法についても報告します。施主が関わる書類としては、大まかに
・解体工事の計画書(工事概要や産業廃棄物の見込み量)
・分別や解体の計画書(解体作業や道路の使用予定、リサイクル費用)
・解体現場までの案内図
・解体する建物の設計図もしくは写真
・工程表
があります。書面一式は各自治体のホームページからダウンロードできますが、解体業者があらかじめ用意してくれることが多いようです。
>もし届け出を忘れてしまったら
建設リサイクル法の届け出が遅れると、役所から届け出に関する通達が届きます。それでも従わなければさらに勧告が届き、次いで罰則が発生します。通常は作業が始まる前に解体業者が提出するものですが、あくまで実行責任は施主の側にあります。もし通達が届いてしまったら、早めに解体業者に連絡しましょう。すぐに手続きをすれば大丈夫です。
建設リサイクル法に基づいて解体工事を進めること
建設リサイクル法では、廃材を再利用するためのさまざまな方法が決められています。1990年代には、解体現場で建物を粉砕し、廃材を丸とご4トントラックで搬出する「ミンチ解体」という手法がスタンダードでしたが、廃材は産業廃棄物としてそのまま処分していたので、ゴミが増える一方でした。建築リサイクル法が施行されてからは、産業廃棄物は分別ののちそれぞれの処理業者に引き渡され、再生材として再び市場に流通するようになりました。取り壊す時にも、後で分別がしやすいよう「手壊し」などの方法がとられるようになり、以前よりやや工期が長びく傾向にあり、人件費も上乗せされるようになりました。
>建築リサイクル法に基づいた解体と処分費用
建築リサイクル法では、効率よく廃材を分別するために、建物の解体手順が細かく決められています。まずは水・電気・ガスなどを使えるようにする台所や空調、照明の設備やその配線、配管を取り外し、続いて、建物を覆っていた屋根ふき材を取り外し、空間を作っていた壁や柱を取り壊していきます。ほとんど上に建っていたものがなくなった状態で、最後に土間コンクリートを壊し、あれば家を支えていた基礎ぐいも取り外していきます。職人さんが手作業で取り壊すように定められた部分も存在します。
>解体現場の管理者に求められる資格
建築リサイクル法では、住宅を解体する業者には必ず「土木工事業」、「建築工事業」または「解体工事業」の許可を求めています。経過措置として、令和元年6月1日までは、「とび・土工工事業」の許可を持っている業者でも解体工事をすることができましたが、移行期間が終了したため、この資格では不十分となりました。現場には技術管理者を配置する必要があり、「建設機械施工技士」「土木施工管理技士」「建築施工管理技士」などの有資格者が現場を監督することが決められています。
>廃材はどのようにリサイクルされるのか
建築リサイクル法によって、再資源化するように定められている建材は「木材」「コンクリート」「プレキャスト板」「アスファルト・コンクリート」などです。これらのうち、家の柱や床を作っていた木材は、燃料に使われたり、木質チップとしてバイオエタノールの原料になったり、繊維化されてファイバーボードの素材になります。基礎や構造体として使われていたコンクリートは、はつったり重機で粉々にして、道路の路盤材や骨材として再利用されます。駐車場や庭に使われるアスファルトは路盤材にとして再生したり、再生加熱アスファルト混合物となって、ふたたび日の目を見ることになります。全ての再生作業を自社の内部で行っている解体業者は稀で、通常は専門の処理業者やメーカーなどに委託して再生処理をしてもらいます。
不本意にも建築リサイクル法に違反してしまったら
>思いがけない形での違反もある
残念ながら、悪質な解体業者も存在します。住宅の解体後に出るゴミを山林などに不法投棄して、処分費用を横領していたり、分別をせずに処分してしまったようなケースもないわけではありません。こういった業者を見破ることはなかなか難しいのですが、方法の1つとして、廃材が最終処分されると、廃棄物処理の流れを記録した「マニフェスト票」を見せてもらうことが挙げられます。これは、すべてのリサイクル処理が終わった時点で必ず交付されるもので、以前に解体した住宅のマニフェスト票は必ず保存する義務があります。もし心配だったら、どこの処理業者と、いつ、どんな取引をしたのかを確認するために、マニフェスト票を見せてもらえないかお願いしてみましょう。
>違反した場合に課されるペナルティは20万円~
初めて解体工事をする人にはとても複雑な建築リサイクル法ですが、違反してしまったときには罰則や罰金といったペナルティが課せられますので、万一にもないように気をつけたいところです。工事の施主であれば、届け出を怠ると20~30万円、解体業者にリサイクルを依頼せず、費用を払わなかったなかった場合には50万円のペナルティがあります。工事全体で見ても大きな金額なので、気をつけましょう。
終わりに
日常の中で解体工事に関わることがある人はあまりいません。知識もない中で、慣れない業者とのやりとりから始まり、住宅の解体工事の方法、廃材のリサイクルまで責任を持つことになるのは少々荷が重く感じられるかもしれません。しかし、建築リサイクル法に従って、廃材を正確に分別し、ゴミの適切な処分、再資源化に取り組めば、自分が出した産業廃棄物が環境を汚染することもなくなります。環境保護とは1人ひとりが取り組むもの。住宅の解体にまつわるこうした費用の支払いも、施主の責任のうちであり、住宅を建てたときから想定しておくべき予算のひとつとして認知しておくべきものではないでしょうか。
2020.1.23