【解体工事】アスベストが招くさまざまな病気とは?
解体工事に関する話題の中でしばしば登場する『アスベスト』。あなたはこれに関してどの程度理解しているでしょうか?
アスベストは2005年に巻き起こった「アスベスト問題」によって、その名が世間に広く知れ渡りました。この出来事を報じるニュースでその存在を知ったという人も多いのではないでしょうか。
今回は、アスベストとこれがもたらす健康被害についてお話ししたいと思います。多くの人が知っているようで知らないアスベストについて、その知識を深めていきましょう。
“アスベストってなんですか?”と尋ねられたら、あなたは正確に説明できるでしょうか?比較的多くの人がこの問いに対して「住宅に使われる断熱材」と答えるのではないでしょうか。これは間違ってはいませんが、アスベストについてもう少し具体的に知っておく必要があります。
アスベストは繊維状になった天然鉱石です。一般的に呼ばれることはあまりありませんが、またの名を「石綿 (いしわた) 」といいます。
アスベストと我々のつながりは非常に長く、時代は太古にまで遡ります。アスベストは遠い昔からから布を作る原料として利用されてきました。近代においてはその用途が様変わりし、その優れた耐熱性と保温性、絶縁性を活かして建設資材をはじめ自動車や電化製品、家庭用品など、さまざまな製品に利用されることになりました。ところが冒頭に挙げた「アスベスト問題」によって、労働関係者が訴えていた健康被害とアスベストの因果関係が認められました。これが契機となり、翌年の2006年に「製造」はもちろんのこと「輸入」や「使用」など、その取り扱いが全面的に禁止されました。そのため、現在では新たにアスベストが何かに利用されることはありません。しかし、ここで安心してはいけません。なぜなら、いまも私たちはアスベストに囲まれて生活しているからです。
アスベストの使用が禁止された現在ですが、私たちは住宅を介してアスベストと関わる可能性が未だあります。
先にお伝えした通り、アスベストの使用は2006年に使用が禁止されました。つまり、その使用が禁止される2006年以前の建物には、アスベストが断熱材として使用されている可能性が十分に考えられるのです。アスベストが使われた建物は今も尚数多くありますから、アスベストがもたらす健康被害のリスクはゼロではないということです。
私たちの周りからアスベストが完全に無くなるには、まだまだ長い年月が必要です。
先述の通り、アスベストは繊維です。しかし、ただの繊維ではなく、極小の繊維でその直径は毛髪の1/5000ほどといわれています。そのため、ほんの少しの空気の流れでも容易く飛散します。アスベストがもたらす病気は、これを吸引することにより発症します。
アスベストが招く病気はさまざまですが、代表的なのは『悪性中皮腫 (悪性胸膜中皮腫)』です。この病気はアスベストと切り離すことができないといってもいいほど、非常に密接な関係です。
肺を包む胸膜の表面にある中皮細胞から発生する悪性腫瘍 (がん) です。正式名称は「悪性胸膜中皮腫」ですが、一般的に「悪性中皮腫」と呼ばれています。
主な症状としては胸の痛みや咳のほか、胸水 (肺のまわりに水が溜まること) による圧迫感や呼吸困難が挙げられます。
この病気の原因のほとんどがアスベストであるといわれています。また、初期のうちは無症状なので早期発見の難しい病気です。潜伏期間は20~50年と非常に長いことが特徴です。こうしたことが、アスベストが「静かな時限爆弾」と呼ばれている所以です。
この患者の多くは解体業に従事していた人です。要するに、アスベストが使われている建物を解体した際、飛散したアスベストを吸引してしまったことにより発症してしまったということです。
そのほかにアスベストは以下のような病気を招くといわれています。
肺がん (症状:体重減少、息切れ、咳、血痰、息苦しさ、胸痛、呼吸困難など)
※いわずと知れた死亡率の高い病気です
肺線維症 (症状:咳、息切れなど。重篤化すると呼吸困難、低酸素血症、呼吸不全)
びまん性胸膜肥厚 (症状:呼吸困難、反復性の胸痛など)
良性石綿胸水 (症状:呼吸困難、胸痛など)
以上、アスベストとこれが招く病気についてお話ししました。
“アスベスト”と聞いて、ただ漠然と”危ないもの”と思っていただけの人も、これを機会にそれに対する考え方が少し変わったのではないでしょうか。
アスベストの利便性の陰に隠れていた危険性。これが分かってからまだ十数年。アスベストと私たちの関係はこれから先もずっと続いていきます。私たちはアスベストがなくなるその日まで、上手に付き合っていかなくてはなりません。
アスベストは2005年に巻き起こった「アスベスト問題」によって、その名が世間に広く知れ渡りました。この出来事を報じるニュースでその存在を知ったという人も多いのではないでしょうか。
今回は、アスベストとこれがもたらす健康被害についてお話ししたいと思います。多くの人が知っているようで知らないアスベストについて、その知識を深めていきましょう。
そもそもアスベストとは?
“アスベストってなんですか?”と尋ねられたら、あなたは正確に説明できるでしょうか?比較的多くの人がこの問いに対して「住宅に使われる断熱材」と答えるのではないでしょうか。これは間違ってはいませんが、アスベストについてもう少し具体的に知っておく必要があります。
アスベストと私たちの深い関係
アスベストは繊維状になった天然鉱石です。一般的に呼ばれることはあまりありませんが、またの名を「石綿 (いしわた) 」といいます。
アスベストと我々のつながりは非常に長く、時代は太古にまで遡ります。アスベストは遠い昔からから布を作る原料として利用されてきました。近代においてはその用途が様変わりし、その優れた耐熱性と保温性、絶縁性を活かして建設資材をはじめ自動車や電化製品、家庭用品など、さまざまな製品に利用されることになりました。ところが冒頭に挙げた「アスベスト問題」によって、労働関係者が訴えていた健康被害とアスベストの因果関係が認められました。これが契機となり、翌年の2006年に「製造」はもちろんのこと「輸入」や「使用」など、その取り扱いが全面的に禁止されました。そのため、現在では新たにアスベストが何かに利用されることはありません。しかし、ここで安心してはいけません。なぜなら、いまも私たちはアスベストに囲まれて生活しているからです。
アスベストはまだまだなくならない
アスベストの使用が禁止された現在ですが、私たちは住宅を介してアスベストと関わる可能性が未だあります。
先にお伝えした通り、アスベストの使用は2006年に使用が禁止されました。つまり、その使用が禁止される2006年以前の建物には、アスベストが断熱材として使用されている可能性が十分に考えられるのです。アスベストが使われた建物は今も尚数多くありますから、アスベストがもたらす健康被害のリスクはゼロではないということです。
私たちの周りからアスベストが完全に無くなるには、まだまだ長い年月が必要です。
アスベストがもたらす病気
先述の通り、アスベストは繊維です。しかし、ただの繊維ではなく、極小の繊維でその直径は毛髪の1/5000ほどといわれています。そのため、ほんの少しの空気の流れでも容易く飛散します。アスベストがもたらす病気は、これを吸引することにより発症します。
アスベストが招く病気はさまざまですが、代表的なのは『悪性中皮腫 (悪性胸膜中皮腫)』です。この病気はアスベストと切り離すことができないといってもいいほど、非常に密接な関係です。
悪性中皮腫
肺を包む胸膜の表面にある中皮細胞から発生する悪性腫瘍 (がん) です。正式名称は「悪性胸膜中皮腫」ですが、一般的に「悪性中皮腫」と呼ばれています。
主な症状としては胸の痛みや咳のほか、胸水 (肺のまわりに水が溜まること) による圧迫感や呼吸困難が挙げられます。
この病気の原因のほとんどがアスベストであるといわれています。また、初期のうちは無症状なので早期発見の難しい病気です。潜伏期間は20~50年と非常に長いことが特徴です。こうしたことが、アスベストが「静かな時限爆弾」と呼ばれている所以です。
この患者の多くは解体業に従事していた人です。要するに、アスベストが使われている建物を解体した際、飛散したアスベストを吸引してしまったことにより発症してしまったということです。
そのほかにアスベストは以下のような病気を招くといわれています。
肺がん (症状:体重減少、息切れ、咳、血痰、息苦しさ、胸痛、呼吸困難など)
※いわずと知れた死亡率の高い病気です
肺線維症 (症状:咳、息切れなど。重篤化すると呼吸困難、低酸素血症、呼吸不全)
びまん性胸膜肥厚 (症状:呼吸困難、反復性の胸痛など)
良性石綿胸水 (症状:呼吸困難、胸痛など)
終わりに
以上、アスベストとこれが招く病気についてお話ししました。
“アスベスト”と聞いて、ただ漠然と”危ないもの”と思っていただけの人も、これを機会にそれに対する考え方が少し変わったのではないでしょうか。
アスベストの利便性の陰に隠れていた危険性。これが分かってからまだ十数年。アスベストと私たちの関係はこれから先もずっと続いていきます。私たちはアスベストがなくなるその日まで、上手に付き合っていかなくてはなりません。
2019.11.1