解体工事の請負資格と必要な届け出について
日々の生活の中で、解体工事を行っている光景を誰しも一度は目にしたことがあるかと思います。こうして普段何気なく目にする解体工事ですが、これを行う (請け負う) ためにはさまざまな資格が必要となります。
そこで今回は、解体工事に関わる届け出や資格にスポットを当ててお話ししたいと思います。本記事で解体工事について理解を深め、以前とは少し違った目線でその工事をみてみましょう。また、自身で解体業を営むことをお考えの方はぜひともその参考にしてください。
解体工事とはその言葉のとおり、建物を解体 (壊す) 工事のことをいいます。建物の解体作業は、主に油圧ショベルなどの重機を使って行われます。解体現場の立地が建物の密集地である
場合は、バールやチェーンソーを使って人力で解体 (手壊し解体) が行われることもあります。これは重機の使用によって発生する騒音や振動、解体ガラ (コンクリート片や木材片) の飛散を回避するための、隣接する建物への配慮です。
解体工事には、「仮設設備の建設」、「重機の操作」、「廃材の仕分け・運搬」、「廃材の処理」など、さまざまな作業があります。そのため、解体工事を効率的かつスピーディーに行うためには、たくさんの作業員が必要となります。
解体工事を請負うためには、ノウハウや人員の確保はもちろんのこと、各種届け出の提出や資格の取得が必要となります。
解体業を営むためには「建設業許可」と「解体工事登録」が必要となります。厳密にいえば、これらのどちらかがあれば、事業を開始 (解体工事の施工)することができますが、どちらもあった方が事業の幅が広がります。
解体工事登録
「解体工事登録」は、登録すれば全国どこでも工事を行えるわけではありません。工事を行う各都道府県に登録する必要があります。そのため、建設業経営者は自身の事業を展開したい範囲に合わせて、各都道府県知事に届け出をすることになります。
この解体工事登録は、「請け負う工事の費用が500万円未満でなければならない」という制限が設けられています。
「解体工事登録」を行うために必要な2つの条件は以下のとおりです。
技術管理者の選任
登録拒否事由に該当しないこと
「解体工事登録」は効力が弱いですが、取得条件が以上の2点のみということで認可を受けることは比較的容易です。
技術管理者になるためには「一級建築士」をはじめとした建築に関わる資格を有することが必要となります。この資格については後述します。
建設営業許可
「建設営業許可」は建設業法により定められています。平成28年に改正され、許可区分として「解体工事業」が新設されました。それにより、工作物の解体工事の施工にはこの許可が必要となりました。
また、更なる改正建設営業法が今年2019年 (令和元年 6月5日) の参議院本会議で、全会一致により可決・成立しました。これにより、極端に短い工期を設けることが禁止 (発注者が不当に短い工期を強いることができなくなった) となったほか、業者には作業員の社会保険の加入を義務付けされることが決まりました。
近年政府が推し進める「働き方改革」によって、世の中の働き方が以前とは大きく様変わりしつつあります。その波がいよいよ建設業界にもやってきたのです。そのため、過酷な労働環境や待遇面の不足が問題視されていた建設業界も、これからその働き方が変わることでしょう。
建設業経営者は作業員の負担を顧みず、工期を極端に短くして発注者に便宜を図ることができなくなりました。
「解体工事登録」が各都道府県のみに有効であることに対し、「建設営業許可」はすべての都道府県に有効です。つまり、これがあれば全国どこでも営業をすることができます。
また、「解体工事登録」とは異なり、「建設営業許可」があれば500万円以上の費用が発生する工事を請け負うことができます。この費用額に上限はありません。しかしながら、「解体工事許可」に比べ、取得のハードルは高いといえます。
それでは、解体工事の請け負いに関わる資格をご紹介します。
一級建築士
一級建設機械施工技士
一級建設施工管理技士
一級土木施工管理技士
一級とび・とび工
(上記各資格 「二級」も同様)
上記の代表的な資格以外にもさまざまな資格があります。その一部をご紹介します。
建設機械施工技術検定 (重機の運転に関わる)
建築物等の鉄骨の組立作業主任者 (仮設設備の組立に関わる)
ガス溶接作業主任者 (金属の切断に関わる)
以上のように、解体工事を請け負うためには多岐にわたる資格が必要なのです。
以上、解体工事を請け負うために必要な届け出や資格について解説しました。
解体工事というと”建物を壊すだけ”というイメージを抱きがちですが、決してそうではありません。その作業にはさまざまなスペシャリストの力が集約されていたのです。これはまさにプロフェッショナルの仕事といえるでしょう。
そこで今回は、解体工事に関わる届け出や資格にスポットを当ててお話ししたいと思います。本記事で解体工事について理解を深め、以前とは少し違った目線でその工事をみてみましょう。また、自身で解体業を営むことをお考えの方はぜひともその参考にしてください。
解体工事の請負資格とは
解体工事とはその言葉のとおり、建物を解体 (壊す) 工事のことをいいます。建物の解体作業は、主に油圧ショベルなどの重機を使って行われます。解体現場の立地が建物の密集地である
場合は、バールやチェーンソーを使って人力で解体 (手壊し解体) が行われることもあります。これは重機の使用によって発生する騒音や振動、解体ガラ (コンクリート片や木材片) の飛散を回避するための、隣接する建物への配慮です。
解体工事には、「仮設設備の建設」、「重機の操作」、「廃材の仕分け・運搬」、「廃材の処理」など、さまざまな作業があります。そのため、解体工事を効率的かつスピーディーに行うためには、たくさんの作業員が必要となります。
解体工事を請負うためには、ノウハウや人員の確保はもちろんのこと、各種届け出の提出や資格の取得が必要となります。
「解体工事登録」と「建設業許可」
解体業を営むためには「建設業許可」と「解体工事登録」が必要となります。厳密にいえば、これらのどちらかがあれば、事業を開始 (解体工事の施工)することができますが、どちらもあった方が事業の幅が広がります。
解体工事登録
「解体工事登録」は、登録すれば全国どこでも工事を行えるわけではありません。工事を行う各都道府県に登録する必要があります。そのため、建設業経営者は自身の事業を展開したい範囲に合わせて、各都道府県知事に届け出をすることになります。
この解体工事登録は、「請け負う工事の費用が500万円未満でなければならない」という制限が設けられています。
「解体工事登録」を行うために必要な2つの条件は以下のとおりです。
技術管理者の選任
登録拒否事由に該当しないこと
「解体工事登録」は効力が弱いですが、取得条件が以上の2点のみということで認可を受けることは比較的容易です。
技術管理者になるためには「一級建築士」をはじめとした建築に関わる資格を有することが必要となります。この資格については後述します。
建設営業許可
「建設営業許可」は建設業法により定められています。平成28年に改正され、許可区分として「解体工事業」が新設されました。それにより、工作物の解体工事の施工にはこの許可が必要となりました。
また、更なる改正建設営業法が今年2019年 (令和元年 6月5日) の参議院本会議で、全会一致により可決・成立しました。これにより、極端に短い工期を設けることが禁止 (発注者が不当に短い工期を強いることができなくなった) となったほか、業者には作業員の社会保険の加入を義務付けされることが決まりました。
近年政府が推し進める「働き方改革」によって、世の中の働き方が以前とは大きく様変わりしつつあります。その波がいよいよ建設業界にもやってきたのです。そのため、過酷な労働環境や待遇面の不足が問題視されていた建設業界も、これからその働き方が変わることでしょう。
建設業経営者は作業員の負担を顧みず、工期を極端に短くして発注者に便宜を図ることができなくなりました。
「解体工事登録」が各都道府県のみに有効であることに対し、「建設営業許可」はすべての都道府県に有効です。つまり、これがあれば全国どこでも営業をすることができます。
また、「解体工事登録」とは異なり、「建設営業許可」があれば500万円以上の費用が発生する工事を請け負うことができます。この費用額に上限はありません。しかしながら、「解体工事許可」に比べ、取得のハードルは高いといえます。
解体工事を請け負うために必要な資格
それでは、解体工事の請け負いに関わる資格をご紹介します。
一級建築士
一級建設機械施工技士
一級建設施工管理技士
一級土木施工管理技士
一級とび・とび工
(上記各資格 「二級」も同様)
上記の代表的な資格以外にもさまざまな資格があります。その一部をご紹介します。
建設機械施工技術検定 (重機の運転に関わる)
建築物等の鉄骨の組立作業主任者 (仮設設備の組立に関わる)
ガス溶接作業主任者 (金属の切断に関わる)
以上のように、解体工事を請け負うためには多岐にわたる資格が必要なのです。
さまざまな技術を要する解体工事
以上、解体工事を請け負うために必要な届け出や資格について解説しました。
解体工事というと”建物を壊すだけ”というイメージを抱きがちですが、決してそうではありません。その作業にはさまざまなスペシャリストの力が集約されていたのです。これはまさにプロフェッショナルの仕事といえるでしょう。
2019.10.16