「罹災証明書」に設けられている損壊の基準とは?災害別にご紹介
予期せぬ火災や自然災害によって住居が損壊してしまった際に発行する必要がある「罹災証明書」。そんな「罹災証明書」に設けられている損壊レベルの具体的な基準をみなさんはご存知ですか?火災による被害か、水害による被害か、はたまたその他の災害による被害なのかによって、建物の壊れ方や傷み方は大きく変わります。今回は、災害ごとに決められている損壊レベルの基準を詳しくご紹介していきます。
まずは、台風や暴風、地震などによって住居が壊れてしまった場合の基準についてご紹介します。火災以外の自然災害による被害に関する管轄は市区町村の役場なので、「罹災証明書」の申請窓口は市区町村の役場です。申請が受理されると、研修を受けた専門の職員が2人以上で現場を調査することになりますが、この調査員が被害状況を確認するポイントとして基準にしているのが、以下でご紹介するものです。建築に関する資格を持っていない職員でも、地域差や個人差を出すことなく被害状況を正確に測るためにも、下記のような明確な基準が設けられています。
「全壊」とは、災害によって受けた住居の経済的被害の割合が、被災前の住居全体の経済的価値に照らして50%以上の場合のことをいいます。また、建物を修繕しても以前と同じように居住できない場合も「全壊」として認定されます。
「大規模半壊」とは、災害によって受けた住居の経済的被害の割合が、被災前の住居全体の経済的価値に照らして40%以上50%未満の場合のことを指します。大規模な修繕を必要とするものの、元のように居住できるようになる場合は「全壊」ではなく、こちらの「大規模半壊」に認定されます。
「中規模半壊」とは、災害によって受けた住居の経済的被害の割合が、被災前の住居全体の経済的価値と比較して30%以上40%未満の場合のことをいいます。
「半壊」とは、災害によって受けた住居の経済的被害の割合が、被災前の住居全体の経済的価値と比べて20%以上30%未満の場合のことをいいます。
「準半壊」とは、災害によって受けた住居の経済的被害の割合が、被災前の住居全体の経済的価値と比べて10%以上20%未満の場合のことをいいます。
「一部損壊」とは、災害によって受けた住居の経済的被害の割合が、被災前の住居全体の経済的価値の10%未満の場合のことをいいます。
続いて火災が起こり、住宅が焼けてしまった場合の損壊からみていきましょう。火災の被害に遭った場合に「罹災証明書」の申請を行う窓口は、その住居を管轄している消防署となっています。「罹災証明書」を発行することで、被害を受けたという事実の認定や被害の程度の認定をしてもらえるので、被災者が必要最低限の支援や保険を受け取れるようになるだけでなく、消防機関が被害の状況を正確に把握することもできます。
火災現場において、専門の調査員が確認する損壊の状態は、「暴風や地震などによる損壊の基準」でご紹介したものと同様ですが、それらに加えて火災特有のものとして「全焼」と「半焼」、「部分焼」「ぼや」という被害の分類もあり、「火災原因損害調査規程」によってその基準が明確に決められています。
「全焼」とは、住居が燃焼したことによる損害の額が、火災前の建物全体の評価額の70%以上のもの、もしくは、この基準に満たないものでも残っている部分を修繕したとしても、元のように住居として再使用できない状態にあることをいいます。
「半焼」とは、住居が燃焼したことによる損害の額が、火災前の建物全体の評価額の20%以上のもののうち、「全焼」に含まれないもののことをいいます(修繕すれば元のように居住することができる場合など)。
「部分焼」とは、漢字の通り住居が部分的に焼けている状態のことをいい、具体的に数字で表すと、住居が燃焼したことによる損害の額が、火災前の建物全体の評価額の20%未満のもので、以下で説明するぼやの基準に当てはまらないもののことをいいます。
「ぼや」とは、住居が燃焼したことによる損害の額が、火災以前の建物全体の評価額の10%未満かつ焼損床面積(焼けたことにより損壊を受けた床面積の合計)が1平方メートル未満のもの、住居が燃焼したことによる損害の額が、火災以前の建物全体の評価額の10%未満であり、焼損表面積が1平方メートルに満たないもの、そして柱や壁などで囲まれている区画の中に収容されている物(収容物)のみ焼損した場合です。
最後に、洪水や津波などによる水害の基準についてご紹介します。水害の被害認定としては、「床上浸水」と「床下浸水」があり、水位によって変わります。
「床上浸水」とは、水位が住居の床の高さを越え、フローリングの上まで浸水することによって、建物が半壊するなどして、被災前と同様に居住し続けることが困難な場合のことを指します。
一方の「床下浸水」とは、床の下まで浸水している状態のことを指します。「床上浸水」よりも水に浸かっているものが少なく済むので、被害は小さい状況です。
住居によっては、1階部分が道路よりも低くなっていたり、逆に盛り土がされていて高くなっている場合もあるので、浸水の目安ととしては、深さ0〜50cm未満(だいたい大人の膝下までの深さ)が「床下浸水」、深さ50cm以上(大人の膝の部分を越えたら)「床上浸水」と決められています。
被害の大きさを明確にし、被災者に必要な支援を届けるために、とても大事な役割を果している「罹災証明書」の被害認定は、上記のように災害ごと、また被害のレベルに合わせて細かく分かれています。このような明確な基準に沿って被害状況が調査されているので、どの自治体でも安心して調査をお願いすることができます。自然災害はいつどこで起こるかわからないものなので、「罹災証明書」に関する知識は、いざというときのためにつけておくと良いでしょう。
暴風や地震などによる損壊の基準
まずは、台風や暴風、地震などによって住居が壊れてしまった場合の基準についてご紹介します。火災以外の自然災害による被害に関する管轄は市区町村の役場なので、「罹災証明書」の申請窓口は市区町村の役場です。申請が受理されると、研修を受けた専門の職員が2人以上で現場を調査することになりますが、この調査員が被害状況を確認するポイントとして基準にしているのが、以下でご紹介するものです。建築に関する資格を持っていない職員でも、地域差や個人差を出すことなく被害状況を正確に測るためにも、下記のような明確な基準が設けられています。
「全壊」
「全壊」とは、災害によって受けた住居の経済的被害の割合が、被災前の住居全体の経済的価値に照らして50%以上の場合のことをいいます。また、建物を修繕しても以前と同じように居住できない場合も「全壊」として認定されます。
「大規模半壊」
「大規模半壊」とは、災害によって受けた住居の経済的被害の割合が、被災前の住居全体の経済的価値に照らして40%以上50%未満の場合のことを指します。大規模な修繕を必要とするものの、元のように居住できるようになる場合は「全壊」ではなく、こちらの「大規模半壊」に認定されます。
「中規模半壊」
「中規模半壊」とは、災害によって受けた住居の経済的被害の割合が、被災前の住居全体の経済的価値と比較して30%以上40%未満の場合のことをいいます。
「半壊」
「半壊」とは、災害によって受けた住居の経済的被害の割合が、被災前の住居全体の経済的価値と比べて20%以上30%未満の場合のことをいいます。
「準半壊」
「準半壊」とは、災害によって受けた住居の経済的被害の割合が、被災前の住居全体の経済的価値と比べて10%以上20%未満の場合のことをいいます。
「一部損壊」
「一部損壊」とは、災害によって受けた住居の経済的被害の割合が、被災前の住居全体の経済的価値の10%未満の場合のことをいいます。
火災による損壊の基準
続いて火災が起こり、住宅が焼けてしまった場合の損壊からみていきましょう。火災の被害に遭った場合に「罹災証明書」の申請を行う窓口は、その住居を管轄している消防署となっています。「罹災証明書」を発行することで、被害を受けたという事実の認定や被害の程度の認定をしてもらえるので、被災者が必要最低限の支援や保険を受け取れるようになるだけでなく、消防機関が被害の状況を正確に把握することもできます。
火災現場において、専門の調査員が確認する損壊の状態は、「暴風や地震などによる損壊の基準」でご紹介したものと同様ですが、それらに加えて火災特有のものとして「全焼」と「半焼」、「部分焼」「ぼや」という被害の分類もあり、「火災原因損害調査規程」によってその基準が明確に決められています。
全焼
「全焼」とは、住居が燃焼したことによる損害の額が、火災前の建物全体の評価額の70%以上のもの、もしくは、この基準に満たないものでも残っている部分を修繕したとしても、元のように住居として再使用できない状態にあることをいいます。
半焼
「半焼」とは、住居が燃焼したことによる損害の額が、火災前の建物全体の評価額の20%以上のもののうち、「全焼」に含まれないもののことをいいます(修繕すれば元のように居住することができる場合など)。
部分焼
「部分焼」とは、漢字の通り住居が部分的に焼けている状態のことをいい、具体的に数字で表すと、住居が燃焼したことによる損害の額が、火災前の建物全体の評価額の20%未満のもので、以下で説明するぼやの基準に当てはまらないもののことをいいます。
ぼや
「ぼや」とは、住居が燃焼したことによる損害の額が、火災以前の建物全体の評価額の10%未満かつ焼損床面積(焼けたことにより損壊を受けた床面積の合計)が1平方メートル未満のもの、住居が燃焼したことによる損害の額が、火災以前の建物全体の評価額の10%未満であり、焼損表面積が1平方メートルに満たないもの、そして柱や壁などで囲まれている区画の中に収容されている物(収容物)のみ焼損した場合です。
水害による損壊の基準
最後に、洪水や津波などによる水害の基準についてご紹介します。水害の被害認定としては、「床上浸水」と「床下浸水」があり、水位によって変わります。
「床上浸水」
「床上浸水」とは、水位が住居の床の高さを越え、フローリングの上まで浸水することによって、建物が半壊するなどして、被災前と同様に居住し続けることが困難な場合のことを指します。
「床下浸水」
一方の「床下浸水」とは、床の下まで浸水している状態のことを指します。「床上浸水」よりも水に浸かっているものが少なく済むので、被害は小さい状況です。
住居によっては、1階部分が道路よりも低くなっていたり、逆に盛り土がされていて高くなっている場合もあるので、浸水の目安ととしては、深さ0〜50cm未満(だいたい大人の膝下までの深さ)が「床下浸水」、深さ50cm以上(大人の膝の部分を越えたら)「床上浸水」と決められています。
まとめ
被害の大きさを明確にし、被災者に必要な支援を届けるために、とても大事な役割を果している「罹災証明書」の被害認定は、上記のように災害ごと、また被害のレベルに合わせて細かく分かれています。このような明確な基準に沿って被害状況が調査されているので、どの自治体でも安心して調査をお願いすることができます。自然災害はいつどこで起こるかわからないものなので、「罹災証明書」に関する知識は、いざというときのためにつけておくと良いでしょう。
2021.7.25