一部損壊の被害程度が記載された罹災証明書にはどのようなメリットがあるのでしょうか
日本は災害が多い国ですが、頻繁に起きている災害の復興時によく利用されている証明書として罹災証明書があります。罹災証明書に記載されている被害の程度によって様々な支援が決まっていきます。そのため、被災者から罹災証明書の発行を各自治体に申請した場合は、遅滞なく被害状況を調査し、被害程度が記された罹災証明書が発行されます。今回は被害程度で一番低い損害とされている一部損壊について、どのようなメリットがあるのか見ていきます。
災害大国と呼ばれる日本では、国や各自治体が自然災害にあった地域の人々に対して様々な支援を実施しています。しかし、全ての人々が同じだけの支援を受けることができるのではなく、被害の大きさによって支援内容が異なります。そうした被害の程度を証明するのが罹災証明書です。今回は罹災証明書で記載される被害の程度でも、一番被害が少ない一部損壊ではどのような支援が受けられるのかを見ていきます。
罹災証明書とは、災害や風水害、地震などの自然災害によって被害にあった住居の被害度合いを証明する書類です。罹災証明書でどのようなことができるのでしょうか。
罹災証明書は自然災害によって居住するために使用している建物の被害の大きさを証明してくれる証明書です。住んでいる自治体では、災害により受けた被害が素早く的確にできるように内閣府から災害に係る住家の被害認定基準運用指針で規定されています。どの様な判定方法で行っているのかについては、内閣府の災害に係る住家の被害認定>でも確認ができますので、ぜひチェックしてみてください。
罹災証明書は、被災者を支援するための制度に対して、どの程度支援を適用できるか判断するための材料として使用されます。公的な支援から民間の支援まで様々なところで活用されるため、被災した人にとっては重要な書類です。公的支援としては、税金等の支払いの減免や免除、被災者生活再建支援金の支給、低金利での借入、住宅を修復するための費用の一部負担、仮説住宅への優先入居など、被害の程度によって、いろいろな支援が可能となっています。民間支援としても、銀行からの有利な条件の借り入れや加入している保険金の支給、私立の授業料の免除など、生活を再建するうえで大事な支援となっています。
では具体的に被害程度とはどの様な基準があるのかを詳しくみていきます。判定基準としては、住家の全体から見て経済的な被害がどの程度占めているのかで決まります。一般的には6段階の被害が想定されており、中には被害なしと判断される場合もあります。
全壊とは、自然災害による住家の倒壊、流出、埋没、焼失などにより、居住するための本来の機能を喪失した状態のことをいいます。損壊が激しいために、元通りに再度住むことができない住居があてはまります。具体的には被災した住居の状況が延床面積の70%以上に達した状態のもの、または家屋の経済的被害が50%以上に達したものを全壊と判定されます。全壊が被害程度では一番大きな被害として認定されたものになります。
大規模半壊とは、住んでいる住宅が被災にあったことで大規模な修繕をしない限り、住宅に住むことが難しい状態にあることを言います。具体的な状況としては、損壊している部分が延床面積の50%以上70未満の状態のもの、また経済的被害が40%以上50%未満の被害にあった住居を大規模半壊として認定され、全壊に次ぐ被害の大きさになります。
中規模半壊とは、居住している住まいが被害にあって、居室の壁や床、天井のいづれかの室内で半分程度の規模の修繕をしなければ住むことができない住居のことをいいます。具体的には延床面積の30%以上50%未満の状態のもの、または経済的被害が全体の30%以上40%未満の被害にあった住居が中規模半壊として認定されます。これまで住むことができなくなっても半壊と認定された場合は、被災者生活再建支援金が受けることができませんでしたが、2020年に中規模半壊が新設され、半壊の中でも区分が追加されたことによって、今まで支援を受けられなかった人も受けれるようになりました。
半壊とは、居住するための住居の一部が被災し喪失したものをいいます。住宅の損害が大きいものの、修繕さえすれば被災前の住家に元通りになる程度の状態をいいます。具体的には被災した延床面積が20%以上70%未満のもの、または経済的被害が全体の20%以上50%未満の状態で半壊と認定されています。先程の中規模半壊で説明した通り、半壊に認定された場合は被災者生活再建支援金を受けることができないため、中規模半壊と半壊の認定では大きく支援が異なってくるということは覚えておきましょう。
準半壊とは、住んでいる家が被災にあったことで一部損傷を受けたものを言います。具体的には被災した部分が延床面積の10%以上20%未満のもの、または経済的被害が全体の10%以上20%未満の状態のものを準半壊として認定されます。これまでは一部損壊として扱われてきて被災した住宅の応急修理費を受け取ることができませんでしたが、2020年4月に新たに準半壊が新設されたことにより、元々一部損壊だった区分を二つにわけることで、今まで受け取れなかった人々への支援の対象が広がってきました。
一部損壊とは、準半壊に至らない程度の損害を受けたものが対象となります。具体的には被災した部分が延床面積の10%未満のもの、または経済的被害が全体の10%未満の状態のものを一部損壊として認定されます。被害程度としては6つの区分の中でも一番低いものとして認定されるために、他の被害程度に比べても受けることができる支援は制限されています。一部損壊の被害程度にあたらない場合は、被害なしとして処理されます。
自宅の被害程度が一部損壊として認定された場合、どのような支援があるのでしょうか。他の被害とはどの程度違うのかをみていきます。
被災者生活再建支援金とは、被災者生活再建支援法という法律に定められた制度で、1995年に発生した阪神・淡路大震災をきっかけに、被災者を根本的に救うには公的援助が必要という考えからできました。被災した人々が非課税で最大300万円の支援金が受け取ることができます。
ただし全壊の複数の人が住む世帯に関しては最大300万円を受け取ることができますが、単身世帯や大規模半壊、中規模半壊で、もらえる金額は減っていきます。さらに半壊の被害よりも低ければ被災者生活再建支援金を受け取ることができません。つまり一部損壊では受け取ることができないということです。
住宅の応急処理とは、居住している住まいが被害を受けて、そのままでは居住できないけど応急的に修繕すれば居住可能な状態で、被災した人が修理するための資金がない場合に、自治体が必要最低限の修理をしてくれる制度です。対象範囲としては、屋根、壁、床、上下水道、電気、ガス等の配管、配線、衛生設備など、日常生活に最低限必要な部分で、緊急性のある部分が対象となっており、基本的には54万7,000円以内の範囲で行われます。被害程度としては準半壊以上のい被害が対象となっているため、一部損壊では対象外となっています。
一部損壊では、仮説住宅に入れなかったり、各種支援金がもらえなかったりと、補助されるものがかなり限られてきます。とはいっても、被害なしと判断された場合に比べてはメリットはあります。例えば、寄付金などによる義援金などは、被災した都道府県や市町村が決定した金額で給付される場合がありますが、こちらは一部損壊でも支給されます。また、国では対象外としていても、県や市町村で支援制度を設けて一部損壊を支援の対象としてくれる場合もあるため、一部損壊だからといっても様々な支援を受け取ることができます。また、一部損壊として証明されたとしても被害の程度がもっとあるのではと感じた場合は再調査してもらうことも可能なので、納得のできる判定をもらいましょう。
罹災証明書における被害程度の紹介と一部損壊での支援について紹介してきました。住家の全壊と比べると公的支援に関しては、かなり支援も少ないのが一部損壊ですが、受けることができる公的支援はあります。その他にも民間の保険等にも利用される場合があるため、必ず罹災証明書を発行してもらい、証明書は大切に保管しておきましょう。
災害大国と呼ばれる日本では、国や各自治体が自然災害にあった地域の人々に対して様々な支援を実施しています。しかし、全ての人々が同じだけの支援を受けることができるのではなく、被害の大きさによって支援内容が異なります。そうした被害の程度を証明するのが罹災証明書です。今回は罹災証明書で記載される被害の程度でも、一番被害が少ない一部損壊ではどのような支援が受けられるのかを見ていきます。
罹災証明書とは
罹災証明書とは、災害や風水害、地震などの自然災害によって被害にあった住居の被害度合いを証明する書類です。罹災証明書でどのようなことができるのでしょうか。
被害程度を証明する罹災証明書
罹災証明書は自然災害によって居住するために使用している建物の被害の大きさを証明してくれる証明書です。住んでいる自治体では、災害により受けた被害が素早く的確にできるように内閣府から災害に係る住家の被害認定基準運用指針で規定されています。どの様な判定方法で行っているのかについては、内閣府の災害に係る住家の被害認定>でも確認ができますので、ぜひチェックしてみてください。
罹災証明書によって何ができる
罹災証明書は、被災者を支援するための制度に対して、どの程度支援を適用できるか判断するための材料として使用されます。公的な支援から民間の支援まで様々なところで活用されるため、被災した人にとっては重要な書類です。公的支援としては、税金等の支払いの減免や免除、被災者生活再建支援金の支給、低金利での借入、住宅を修復するための費用の一部負担、仮説住宅への優先入居など、被害の程度によって、いろいろな支援が可能となっています。民間支援としても、銀行からの有利な条件の借り入れや加入している保険金の支給、私立の授業料の免除など、生活を再建するうえで大事な支援となっています。
罹災証明書による被害程度とは
では具体的に被害程度とはどの様な基準があるのかを詳しくみていきます。判定基準としては、住家の全体から見て経済的な被害がどの程度占めているのかで決まります。一般的には6段階の被害が想定されており、中には被害なしと判断される場合もあります。
全壊
全壊とは、自然災害による住家の倒壊、流出、埋没、焼失などにより、居住するための本来の機能を喪失した状態のことをいいます。損壊が激しいために、元通りに再度住むことができない住居があてはまります。具体的には被災した住居の状況が延床面積の70%以上に達した状態のもの、または家屋の経済的被害が50%以上に達したものを全壊と判定されます。全壊が被害程度では一番大きな被害として認定されたものになります。
大規模半壊
大規模半壊とは、住んでいる住宅が被災にあったことで大規模な修繕をしない限り、住宅に住むことが難しい状態にあることを言います。具体的な状況としては、損壊している部分が延床面積の50%以上70未満の状態のもの、また経済的被害が40%以上50%未満の被害にあった住居を大規模半壊として認定され、全壊に次ぐ被害の大きさになります。
中規模半壊
中規模半壊とは、居住している住まいが被害にあって、居室の壁や床、天井のいづれかの室内で半分程度の規模の修繕をしなければ住むことができない住居のことをいいます。具体的には延床面積の30%以上50%未満の状態のもの、または経済的被害が全体の30%以上40%未満の被害にあった住居が中規模半壊として認定されます。これまで住むことができなくなっても半壊と認定された場合は、被災者生活再建支援金が受けることができませんでしたが、2020年に中規模半壊が新設され、半壊の中でも区分が追加されたことによって、今まで支援を受けられなかった人も受けれるようになりました。
半壊
半壊とは、居住するための住居の一部が被災し喪失したものをいいます。住宅の損害が大きいものの、修繕さえすれば被災前の住家に元通りになる程度の状態をいいます。具体的には被災した延床面積が20%以上70%未満のもの、または経済的被害が全体の20%以上50%未満の状態で半壊と認定されています。先程の中規模半壊で説明した通り、半壊に認定された場合は被災者生活再建支援金を受けることができないため、中規模半壊と半壊の認定では大きく支援が異なってくるということは覚えておきましょう。
準半壊
準半壊とは、住んでいる家が被災にあったことで一部損傷を受けたものを言います。具体的には被災した部分が延床面積の10%以上20%未満のもの、または経済的被害が全体の10%以上20%未満の状態のものを準半壊として認定されます。これまでは一部損壊として扱われてきて被災した住宅の応急修理費を受け取ることができませんでしたが、2020年4月に新たに準半壊が新設されたことにより、元々一部損壊だった区分を二つにわけることで、今まで受け取れなかった人々への支援の対象が広がってきました。
一部損壊
一部損壊とは、準半壊に至らない程度の損害を受けたものが対象となります。具体的には被災した部分が延床面積の10%未満のもの、または経済的被害が全体の10%未満の状態のものを一部損壊として認定されます。被害程度としては6つの区分の中でも一番低いものとして認定されるために、他の被害程度に比べても受けることができる支援は制限されています。一部損壊の被害程度にあたらない場合は、被害なしとして処理されます。
罹災証明書に記載される一部損壊の現実
自宅の被害程度が一部損壊として認定された場合、どのような支援があるのでしょうか。他の被害とはどの程度違うのかをみていきます。
被災者生活再建支援金はもらえる?
被災者生活再建支援金とは、被災者生活再建支援法という法律に定められた制度で、1995年に発生した阪神・淡路大震災をきっかけに、被災者を根本的に救うには公的援助が必要という考えからできました。被災した人々が非課税で最大300万円の支援金が受け取ることができます。
ただし全壊の複数の人が住む世帯に関しては最大300万円を受け取ることができますが、単身世帯や大規模半壊、中規模半壊で、もらえる金額は減っていきます。さらに半壊の被害よりも低ければ被災者生活再建支援金を受け取ることができません。つまり一部損壊では受け取ることができないということです。
住宅の応急修理
住宅の応急処理とは、居住している住まいが被害を受けて、そのままでは居住できないけど応急的に修繕すれば居住可能な状態で、被災した人が修理するための資金がない場合に、自治体が必要最低限の修理をしてくれる制度です。対象範囲としては、屋根、壁、床、上下水道、電気、ガス等の配管、配線、衛生設備など、日常生活に最低限必要な部分で、緊急性のある部分が対象となっており、基本的には54万7,000円以内の範囲で行われます。被害程度としては準半壊以上のい被害が対象となっているため、一部損壊では対象外となっています。
その他
一部損壊では、仮説住宅に入れなかったり、各種支援金がもらえなかったりと、補助されるものがかなり限られてきます。とはいっても、被害なしと判断された場合に比べてはメリットはあります。例えば、寄付金などによる義援金などは、被災した都道府県や市町村が決定した金額で給付される場合がありますが、こちらは一部損壊でも支給されます。また、国では対象外としていても、県や市町村で支援制度を設けて一部損壊を支援の対象としてくれる場合もあるため、一部損壊だからといっても様々な支援を受け取ることができます。また、一部損壊として証明されたとしても被害の程度がもっとあるのではと感じた場合は再調査してもらうことも可能なので、納得のできる判定をもらいましょう。
まとめ
罹災証明書における被害程度の紹介と一部損壊での支援について紹介してきました。住家の全壊と比べると公的支援に関しては、かなり支援も少ないのが一部損壊ですが、受けることができる公的支援はあります。その他にも民間の保険等にも利用される場合があるため、必ず罹災証明書を発行してもらい、証明書は大切に保管しておきましょう。
2021.7.4