「罹災証明書」の発行には、基準がある?被害状況ごとの基準をご紹介
被災したら申請するべき「罹災証明書」とは?
自然災害による被害と言われて、皆さんはどのような災害を思い浮かべますか?地震や台風などによって倒壊した家や、飛んでいってしまった屋根などの被害をイメージされる方も多くいらっしゃると思いますが、近年は突発的に起こる大雨や豪雨などでも、土砂災害や河川の氾濫を引き起こすものが多くなっており、それにより全国各地で大きな被害が出ています。
「罹災証明書」を発行する目的
このような予期せぬ自然災害による被害だけでなく、火災や爆発などによって住居が損壊してしまったら、保険金の受け取りや自治体からの被災支援を受けるためにも「罹災証明書」を発行する必要があります。
「罹災証明書」とは?
「罹災証明書」とは、上記で挙げたような自然災害や火災・爆発などによって住居が損壊してしまった場合に、損壊を受けたという事実を認定するもの、また損壊のレベルをあらわす公的な書類として使用されるものです。
「罹災証明書」発行までの流れや期間
被害にあい、「罹災証明書」を申請しなければいけなくなった場合に備え、申請から発行までの流れや発行までにかかる期間を知っておくことはとても大切なことです。ここでは、「罹災証明書」発行までの流れや期間を詳しくご紹介します。
「罹災証明書」の発行までの流れ
被害にあってから「罹災証明書」を申請・発行するまでの流れは、3つあります。まず、「罹災証明書」の申請書を記入し、身分証明書と被害状況がわかる写真と共に、そのエリアを管轄している消防署の担当窓口(火災の場合)、もしくは市町村役場の担当窓口(火災以外の自然災害によって受けた損壊の場合)に提出します。次に、消防署職員、もしくは専門の研修を受けた調査員が現地に向かい、外観、内観を調査することで、被害のレベルを調査・認定します。最後に、調査員による認定結果に基づいて、被害の度合いが記載された証明書が発行されます。
「罹災証明書」の発行までにかかる期間
「罹災証明書」の発行までにかかる期間は、自治体にもよりますが、現地調査から最低1週間です。これは全てがスムーズに進んだ場合なので、災害の規模が大きく、限られた調査員の人数に対して、申請が多く行われた場合には、発行までに長い期間をみておく必要があります。「罹災証明書」は、前述したように、保険や必要な支援を受けるために欠かせない書類となるので、被害にあった際には、直ちに申請をするようにしましょう。
「罹災証明書」の被害状況の基準
ここでは、「罹災証明書」を発行するに当たって重要になる、被害の度合いの基準について詳しくご紹介します。被害の度合いを表す基準については、火災によって住居が燃焼した場合と、火災以外の災害(台風や地震、土砂崩れ)によって住居が損壊した場合、住居が浸水した場合の大きく3つに分けて表されます。
火災の場合
火災によって、住居が燃焼した場合には、燃焼の度合いが大きい順に「全焼」、「半焼」、「部分焼」というようにレベル分けすることができます。個々の基準としては、「全焼」は、住居全体の70%以上が焼けてしまった場合、「半焼」は、住居全体の20%以上70%未満が焼けてしまった場合、そして「部分焼」は、住居全体の10%以上20%未満が焼けた場合に用いられます。
火災以外の災害の場合
台風や地震など火災以外の自然災害によって住居が損壊を受けた場合には、損壊の度合いが大きい順に、「全壊」、「大規模半壊」、「半壊」、「一部損壊」というようにレベル分けすることができます。
個々の基準としては、「全壊」は、住居全てが倒壊した場合、損壊によって受けた経済的損害が住居全体の50%以上にのぼる場合、損壊部分の床面積が住居全体の70%以上の場合、そして損壊の状況が酷く、補修しても元のように暮らすことが困難な場合。
「大規模半壊」は、損壊によって受けた経済的損害が住居全体の40%以上50%未満の場合、損壊部分の床面積が住居全体の50%以上70%未満の場合、損壊の状況が酷く、大規模な修繕をしなければ、元のように暮らすことが困難な場合。
「半壊」は、損壊によって受けた経済的損害が住居全体の20%以上40%未満の場合、損壊部分の床面積が住居全体の20%以上50%未満の場合、損壊の状況は酷いが、修繕すれば、元のように暮らすことができる場合。
「一部損壊」は、損壊によって受けた経済的損害が住居全体の20%未満の場合、損壊部分の床面積が住居全体の20%未満の場合、半壊、倒壊までには至らず、補修をすれば元のように暮らすことができる場合です。
浸水した場合
洪水や河川の氾濫、津波によって住居が浸水した場合は、「床上浸水」と「床下浸水」によって被害のレベル分けがされています。「床上浸水」は、住居の床の高さを越えて浸水した場合や、住居内に土砂が流れ込み、一時的に居住することができない状態を表しています。一方の「床下浸水」は、床上浸水に至らない程度の浸水のことを指します。
まとめ
自然災害や火災、爆発などの災害によって住居が損壊を受けた場合に必要不可欠な「罹災証明書」。この「罹災証明書」によって証明される損壊の内容は、損壊の種類やレベルに応じて様々で、それらを認定するための細かい基準がそれぞれ設けられています。「罹災証明書」を申請したら、上記に挙げたような基準のどの部分に当てはまるのかを専門の調査員が実際に現地に赴き調査することで、被害のレベルが確定します。
2021.8.6