解体工事の意外な盲点 近隣住民との関係を良好に保つ
解体工事には法律による決まりが多々ありますが、近隣にお住まいの方々への不満が出ないように作業を進めていくことも大切です。法律と違って人の感情が入ってくる問題ですから、ここをおろそかにしてしまうと後々もつれて取り返しのつかないことになってしまします。もし自分が住んでいる近くで解体工事が行われるなら施主や業者にはどのようにしてほしいかを考えるように心がけましょう。
近隣住民へのあいさつ回り
解体工事をスムーズに進めていくためには、着工よりも前に近隣にお住まいの方々にあいさつ回りをすることが大切です。解体工事の業者だけではなく、施主である解体工事の依頼主本人があいさつに行くとより良いでしょう。
中には、あいさつを解体工事の業者に任せてしまう施主の方もいます。しかし、施主本人が足を運ばずに解体工事の業者だけがあいさつに来ることを失礼だと感じる住民の方がいるかもしれません。
着工する前に施主本人からきちんと解体工事についての説明をして、近隣にお住まいの方々に理解と協力をいただいておけば、印象は良くなります。ここでは、あいさつはしたほうがいいのだろうかと悩んでいる人や、あいさつをするべきなのはわかっているけれど、正しいやり方がわからないという施主の方に向けて、3つのポイントについて解説していきます。
あいさつ回りに行く範囲
どのエリアまであいさつに行けばいいかという決まりはありませんが、少なくとも解体をする建築物の両隣、向かい、はす向かい、裏の家にはあいさつにいきましょう。そして、解体工事の運搬車や重機で道路をふさいでしまう可能性があるならば、同じ道路に建っているご近所にお住まいの方々にもあいさつに行っておいたほうが良いでしょう。
あいさつに行く際には、解体工事の業者を一緒に連れて行くのが最適です。解体工事の経験が豊富な優良な業者であれば、施主から言わずとも自ら近隣にお住まいの方々にあいさつに行っている場合があります。施主が行こうとしたときにもう業者があいさつを済ませていたら二度手間になってしまいますから、事前に業者と打ち合わせをしてあいさつ回りを行う日時を決めておくと良いでしょう。
また、一般的には工事を開始する10日から1週間ほど前に、あいさつに伺うのが最適です。
あいさつ回りの際の手土産について
解体工事を行うというあいさつをする際に、手土産は必ず用意しなければならないというわけではありません。しかし、常識的に手ぶらで初対面の相手にあいさつに行くのは失礼とも取れますから、できることならばなるべく手土産を用意しておくとよいでしょう。
工事をするためのあいさつ回りというのは人生で何回も経験するものではありませんから、手土産と言われても実際なにを持って行けばいいのかわからないという方も多いでしょう。
用意する粗品は500~1000円程度の生活雑貨で十分です。タオルや洗剤などどのもらってこまらない無難なものを選ぶようにしましょう。ここでのポイントは相手にとっての使いやすいさと実用性です。あまりに高価なものを持ってこられても、かえって申し訳なくて受け取りずらいですし、生活からかけ離れたものだと、人によっては要らないと思われてしまうこともあります。
次に包装についてです。粗品を渡す際にはのし紙を付けるのが一般的です。ここで注意しておくべきポイントは内のしと外のしです。内のしと外のしの違いとはなにかというと、内のしは身内の祝い事やおすそわけをするときに付けるもので、外のしはどんな目的で渡すのかをわかりやすくするために付けるものです。ですから、解体工事のあいさつに行く場合には、外のしを付けることが一般的です。
また、手土産は任意で問題ないですが、あいさつ状は必須です。基本的に、業者に頼めばどういった解体工事がどのくらいの期間で行われるのかがはっきりと記された紙を用意してくれますから、施主が自らつくる必要はありません。
近隣住民の方との関係を良好に保つために
いくら丁寧にあいさつに行ったとしても、常識はずれのうるささが響き続けてしまっては、近隣にお住まいの方々も我慢の限界が来てしまいます。近隣にお住まいの方々が納得してくれるようにしっかりと騒音などの対策を取るようにしましょう。もし苦情が来てしまった場合には、工事内容の見直しをすることも考えるべきでしょう。
解体工事を行う際に建築物を囲い込むブルーシートのことを養生シートと言います。養生シートは粉じんなどの飛散を防いだり、防音をする目的で使われます。普通の業者であれば養生シートは使用しますが、ここについても見積もりの際に確認しておいたほうが無難です。追加料金が掛かる場合もありますが、従来の養生シートよりも防音性が高い養生シートもありますから、近隣にお住まいの方々の状況によっては検討してもよいでしょう。
まとめ
近隣にお住まいの方々へ事前にしっかりと許可を得てから解体工事に着手することが、円滑な作業には重要です。あいさつ回りをしてスムーズに解体工事が進められるように心がけましょう。
2020.7.20