振動被害を防ぐ!解体工事における振動対策についてご紹介
日本の建設技術は日々向上しているとはいえ、解体工事における振動対策については、未だ改善の余地があります。近隣の方々に配慮した万全な振動対策を行ううえで、考慮・工夫すべきポイントを確認しましょう。
重機を扱う解体工事では近隣の方々に対して、心理的にも物理的にも損害を与えかねない振動被害のリスクを伴います。また、騒音対策と比べると振動対策においてはより専門的な技術を要するがために、解体業者の対策不足による苦情が後を経ちません。
今回の記事では、解体工事における「振動」をテーマに取り上げ、その対策についてもご紹介いたします。
施工技術総合研究所は、振動苦情の約6割は解体工事によるものであるという調査結果を報告しています。
また、苦情の主な要因は、振動発生源の「作業方法、機械運転操作上の問題」等の解体業者の対策不足によるものであることから、適切な対策を講じれば多くの振動苦情は防げることが伺えます。
(参考:施工技術総合研究所「建設作業振動の苦情実態」)
振動対策の基本として、解体業者には、下記の法律・条例の規制基準内で作業を行ってもらうようにしましょう。
騒音規制法と同様に、環境省は「振動規制法」によって、特定建設作業の振動についても規制しています。
総理府令によって振動の大きさ、作業時間帯、作業日数、作業曜日等の規制基準が定められており、それらに違反すれば、改善勧告、改善命令、罰則の対象となります。
騒音対策に関する記事でもご紹介した「東京都環境確保条例」では、騒音だけでなく、振動についても規制しています。
こちらも、総理府令で定められた規制基準に基づき、必要があれば改善勧告、改善命令、罰則がなされます。(※条例内容は、各自治体によって異なります。)
総理府令が定める規制基準によると、振動の上限は75db(デシベル)とされています。
70dbが大勢の人が感じる程の揺れ、80dbが家屋の揺れに値すると言われているため、それらの中間の振動の大きさだとイメージすると良いでしょう。
(参考:千代田区「騒音・振動とは」)
また、可能であれば解体業者にお願いして作業現場に振動計を設置してもらえると、依頼主側でも定期的に振動レベルを確認することができるようになります。
解体工事に伴う振動苦情件数の多さを考えると(参考:施工技術総合研究所「建設作業振動の苦情実態」)、多少のコストをかけてでも、振動対策は入念に行うべきでしょう。
下記にて、振動対策の一例をご紹介いたしますので、解体業者の選定・依頼をする際の参考にしてみてください。
これに関しては解体業者の全面的な協力が必要となりますが、国土交通省が指定する「低騒音型・低振動型建設機械」の機械を使用したり、低振動の工法に変更したりすることで、振動の発生自体をある程度抑えることができます。
また、振動源の地盤が軟弱なほど、振動が伝わる範囲は広がります。解体工事の前に地盤の強度を補強する地盤改良工事を行うことも考慮に入れましょう。
騒音対策と同様、近隣の方々の生活リズムに合わせて、解体工事を行う時間帯・曜日を調整することをおすすめします。
事前の周辺環境調査の際は、地盤や家屋の状態を確認するだけでなく、近隣の方々から直接ご意見・要望を伺い、適切な作業計画を立てるようにしましょう。また、機械使用を伴う連続作業時間の短縮を行うことでも、振動回数・振動レベルを抑えることができます。
工事着工の前に、近隣の方々に対して、工事概要、作業時間、振動対策等の説明を十分に行いましょう。苦情が出てからでは作業工法の変更が難しい場合もあるため、簡単な挨拶で済ませるのではなく、近隣の方々の理解と納得が得られる説明と対策の提示が必要です。
また、実際に苦情が発生する場合にも備えて、苦情の窓口となる担当者や連絡方法等も設定しておくと、苦情に対して速やかに対応できるようになります。
今回の記事では、解体工事における振動対策についてご紹介しました。振動対策では、解体業者による技術面での協力が必要不可欠です。下記の環境省が提案する振動対策では、より具体的に低振動の工法や機械が紹介されていますので、これらも参考にして、工夫できる対策について解体業者としっかり検討するようにしましょう。
▼環境省「地方公共団体担当者のための建設作業振動対策の手引き」
▼環境省「よくわかる建設作業振動防止の手引き~振動低減へのアプローチ〜」
▼東京都環境局「近年の騒音・振動 に係る苦情の状況」
重機を扱う解体工事では近隣の方々に対して、心理的にも物理的にも損害を与えかねない振動被害のリスクを伴います。また、騒音対策と比べると振動対策においてはより専門的な技術を要するがために、解体業者の対策不足による苦情が後を経ちません。
今回の記事では、解体工事における「振動」をテーマに取り上げ、その対策についてもご紹介いたします。
「振動」を規制する法律・条例
施工技術総合研究所は、振動苦情の約6割は解体工事によるものであるという調査結果を報告しています。
また、苦情の主な要因は、振動発生源の「作業方法、機械運転操作上の問題」等の解体業者の対策不足によるものであることから、適切な対策を講じれば多くの振動苦情は防げることが伺えます。
(参考:施工技術総合研究所「建設作業振動の苦情実態」)
振動対策の基本として、解体業者には、下記の法律・条例の規制基準内で作業を行ってもらうようにしましょう。
振動規制法
騒音規制法と同様に、環境省は「振動規制法」によって、特定建設作業の振動についても規制しています。
総理府令によって振動の大きさ、作業時間帯、作業日数、作業曜日等の規制基準が定められており、それらに違反すれば、改善勧告、改善命令、罰則の対象となります。
東京都環境確保条例
騒音対策に関する記事でもご紹介した「東京都環境確保条例」では、騒音だけでなく、振動についても規制しています。
こちらも、総理府令で定められた規制基準に基づき、必要があれば改善勧告、改善命令、罰則がなされます。(※条例内容は、各自治体によって異なります。)
振動の大きさの基準
総理府令が定める規制基準によると、振動の上限は75db(デシベル)とされています。
70dbが大勢の人が感じる程の揺れ、80dbが家屋の揺れに値すると言われているため、それらの中間の振動の大きさだとイメージすると良いでしょう。
(参考:千代田区「騒音・振動とは」)
また、可能であれば解体業者にお願いして作業現場に振動計を設置してもらえると、依頼主側でも定期的に振動レベルを確認することができるようになります。
振動対策について
解体工事に伴う振動苦情件数の多さを考えると(参考:施工技術総合研究所「建設作業振動の苦情実態」)、多少のコストをかけてでも、振動対策は入念に行うべきでしょう。
下記にて、振動対策の一例をご紹介いたしますので、解体業者の選定・依頼をする際の参考にしてみてください。
振動発生源の対策
これに関しては解体業者の全面的な協力が必要となりますが、国土交通省が指定する「低騒音型・低振動型建設機械」の機械を使用したり、低振動の工法に変更したりすることで、振動の発生自体をある程度抑えることができます。
また、振動源の地盤が軟弱なほど、振動が伝わる範囲は広がります。解体工事の前に地盤の強度を補強する地盤改良工事を行うことも考慮に入れましょう。
作業時間の変更
騒音対策と同様、近隣の方々の生活リズムに合わせて、解体工事を行う時間帯・曜日を調整することをおすすめします。
事前の周辺環境調査の際は、地盤や家屋の状態を確認するだけでなく、近隣の方々から直接ご意見・要望を伺い、適切な作業計画を立てるようにしましょう。また、機械使用を伴う連続作業時間の短縮を行うことでも、振動回数・振動レベルを抑えることができます。
事前挨拶・説明の実施
工事着工の前に、近隣の方々に対して、工事概要、作業時間、振動対策等の説明を十分に行いましょう。苦情が出てからでは作業工法の変更が難しい場合もあるため、簡単な挨拶で済ませるのではなく、近隣の方々の理解と納得が得られる説明と対策の提示が必要です。
また、実際に苦情が発生する場合にも備えて、苦情の窓口となる担当者や連絡方法等も設定しておくと、苦情に対して速やかに対応できるようになります。
まとめ
今回の記事では、解体工事における振動対策についてご紹介しました。振動対策では、解体業者による技術面での協力が必要不可欠です。下記の環境省が提案する振動対策では、より具体的に低振動の工法や機械が紹介されていますので、これらも参考にして、工夫できる対策について解体業者としっかり検討するようにしましょう。
▼環境省「地方公共団体担当者のための建設作業振動対策の手引き」
▼環境省「よくわかる建設作業振動防止の手引き~振動低減へのアプローチ〜」
▼東京都環境局「近年の騒音・振動 に係る苦情の状況」
2020.11.25