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解体業者の選び方

解体工事では事前調査が義務!石綿(アスベスト)調査について解説

建物などの解体工事を行う場合はアスベストの事前調査が法律で義務付けられていますが、詳しい方法がわからず戸惑う建物所有者の方も多いのが現状です。この記事では「解体工事の事前調査とはどんなものか」「工事の発注者は何をすればいいのか」をわかりやすく説明していきます。

戸建て住宅からマンションなどの鉄筋コンクリート造まで、建物などの解体工事を行う場合は事前調査が法律で義務付けられています。

事前調査は発がん性があるとされる「石綿」(アスベスト)を適切に処理するために必要ですが、詳しい方法がわからず戸惑ってしまう建物所有者の方も多いのが現状です。

この記事では「解体工事の事前調査とはどのようなものか」「工事の発注者は何をすればいいのか」を中心に、わかりやすく説明していきます。

 

解体工事で義務付けられている事前調査とは


ここで言う事前調査とは、建物などに発がん物質である石綿(アスベスト)が使用されているかどうかを確かめるための調査のことです。

事前調査は法律で義務付けられているので、戸建て住宅やビルなどを解体する場合は必ず実施しなければなりません。

 

石綿(アスベスト)とは


石綿(アスベスト)とは、1970年代後半から1980年にかけて使われていた建築用の素材の名前です。

値段が安く耐火性・耐熱性・防音性など様々な機能があったため様々な建築物に使用されていましたが、後に肺がんなどの重い病気を誘発する性質があることが明らかとなり、使用が禁止されました。

石綿が使用された建物などは老朽化が進んでいるため、今後20~30年間で解体工事の件数がピークを迎えると予想されています。

 

事前調査は法律上の義務


2014年6月に改正された「大気汚染防止法」により、建物などの解体・改造・補修を行う場合は工事前に事前調査を実施することが義務付けられています。

建物などに石綿が使用されているか否かを問わず、事前調査の結果は適切な方法で掲示しなければなりません。

なお、実際に石綿が使用されていることが判明した場合は、法律で定められた飛散防止対策をとる必要があります。

 

解体工事の事前調査方法を3ステップで解説


解体工事の際は事前調査を依頼するだけでなく、調査を担当した業者から調査結果の説明を受けたり、調査結果を適切な方法で掲示したりする義務もあります。

解体工事の発注者は実際の事前調査には加わりませんが、資料を提供するなどの協力が必要となるので、やるべきことを事前にしっかり確認しておきましょう。

 

事前調査を依頼する


解体工事を発注するときは、まず事前調査を依頼します。

事前調査の方法としては「設計図書などでの書面調査」「現場での目視調査」「分析調査」の3種類があり、書面調査と現場での目視調査は必須です。

分析調査は必ず行われるものではなく、書面や目視による調査では石綿が使用されているか判断できなかった場合などに実施されます。

事前調査では調査を行う業者に建物の設計図や仕様書などの資料を提供することになるので、あらかじめ準備しておきましょう。

 

調査結果の説明を受ける


事前調査が完了すると、調査を行った業者から調査結果や結果の説明が書面で交付されます。

調査結果や説明の書面は次で説明する調査結果の掲示で必要になるので、大切に保管してください。

建物に石綿が使用されていることが判明した場合は、保健福祉事務所への届出を書くときにも調査結果や説明の書面を使用します。

 

調査結果を掲示する


解体工事の期間中は、一般の人が見やすい場所に事前調査の結果を掲示する義務があります。

調査結果は必ずA3サイズ以上の大きさで掲示してください。

事前調査で建物などに石綿が使用されていないことがわかった場合でも、石綿が使用されていないことがわかるように掲示を行う必要があります。

 

解体工事の事前調査の注意点


解体工事の事前調査の注意点として、発注者が知っておきたいポイントが2つあります。

一つは、実際に建物に石綿が使用されていた場合に保健福祉事務所への届出が必要になるということ。

もう一つは、事前調査を含めた解体工事は法令遵守の業者に依頼した方がいいということです。

 

石綿が使用されていた場合は届出が必要


解体工事の事前調査を行った結果として、実際に建物などに石綿が使用されていることが判明するケースは少なくありません。

石綿が使用されている建物の解体工事を行う場合は、管轄の保健福祉事務所へ届出を提出しましょう。

なお、石綿を含有する建材はレベル1からレベル3に分類されていて、レベルに応じて必要となる届出の数が変わります。

レベル1(吹付け石綿)の建材が使用されている場合、「工事計画書」「特定粉じん排出等作業届書」「都道府県知事への事前届出」「建築物解体等作業届」の4種類を提出することになります。

レベル2(断熱材や保温材など)では3種類、レベル3(スレートや石綿セメント板など)でも1種類の届出が必要です。

工事計画書と特定粉じん排出等作業届書は作業開始の14日前まで、都道府県知事への事前届出は7日前まで、建築物解体等作業届は作業前までに提出しなければならないので、余裕を持って準備しましょう。

 

法令遵守の業者を選ぼう


解体工事の事前調査に必須の資格はありませんが、書面調査や目視調査は「石綿に関し一定の知見を有し、的確な判断ができる者」、分析調査は「十分な経験及び必要な能力を有する者」が行うことという方針となっています。

また、石綿が使用されている建物の解体手順や石綿を含む廃棄物の処理方法などは、作業について法律でルールが定められています。

労働安全衛生法」「石綿障害予防規則」「建設リサイクル法」「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」「建築基準法」といった多方面の法令の知識が必要となるため、十分な知識や経験を持った法令遵守の解体業者を選ぶことが重要です。

 

まとめ


建物などの解体工事の際は、石綿が使用されているかどうかを調べるために事前調査を行うことが法律で義務付けられています。

事前調査は基本的には設計図書などの書面調査と現場での目視調査によって行われますが、それでも石綿が使用されているかわからなかった場合は分析調査も実施されます。

事前調査が完了すると調査結果が説明されますが、その際に交付された書面は調査結果の掲示や石綿が使用されていた場合の届出に必要となるので、大切に保管してください。

解体工事の事前調査では石綿に関する十分な知識や経験が必要となり、実際に石綿が使用されていた場合は多方面の法令を遵守しなければなりません。

そのため、解体工事は知識や経験が豊富な法令遵守の業者を選ぶとよいでしょう。

2021.3.1