解体工事の安全対策とは?現場を安全に保つために行われること
解体工事は、大きな機材を使って大きな建物を壊していくため、安全対策をしっかり行わないと重大な事故を起こしかねません。万が一、解体工事で事故が起こってしまうと、近隣の人々にも被害が及ぶ可能性があり、多くの人に迷惑をかけてしまうことになります。
そのような事態を起こさないためにも、きちんとした安全対策を行っている解体業者を選んで作業を依頼するようにしましょう。この記事では、実際に起きてしまった事故の一例を紹介してから、悲惨な事故が二度と起こらないように国で定められいる法律や、実際の現場で留意されるべき点を説明していきます。
残念ながら、解体工事中の事故というのは毎年発生しています。解体工事は大きな機材で建築物や工作物を壊していくため、事故が起こってしまったときは、大規模な事故に発展してしまうことも珍しくありません。では、今までに実際にどんな事故が発生したのか、また、安全に解体工事を行うために実際の工事現場では、どんなことに注意して作業が行われているのかを見ていきましょう。
ここでは、実際に発生した事故の一例を紹介します。作業中の従業員に限らず、偶然近くを通りかかった一般の人に被害が及んでしまうこともあります。
平成20年7月3日、東京都品川区にて発生した事故です。木造二階建て建物の解体工事にて、解体中の建物が傾き、外壁を覆っていたシートと足場の金属製パイプが、隣接するJRの線路上に落下し、JR線24本が運休し計約6万人に影響が出ました。
平成22年10月14日、岐阜県岐阜市にて発生した事故です。アルミ加工工場の解体工事の現場で、作業中のクレーンの先端が、壁に固定されていた足場に引っかかったため、外そうとする動きをしたところ、コンクリート製の外壁が、高さ約11m、幅約18mにわたって道路(市道)側に倒壊しました。そこに自転車で通りかかった女子高生が倒壊した壁の下敷きとなり、死亡する事故が起きました。
平成23年12月、長野県にて発生した事故です。平屋工場(鉄骨造)の解体工事中、作業員が屋根の上で屋根を固定しているフックとナットを取り外す作業を、歩み板、防網などの踏み抜き防止措置を講じないまま行っていたところ、墜落する事故が起きました。作業員は、屋根材を踏み抜き、高さ約10m下のコンクリート床に墜落し、死亡しました。踏み抜き事故は多発している現状があります。
上記の例はほんの一例にすぎません。解体工事中の事故は、罪のない人の命も突然簡単に奪いうる悲惨なものです。事故を防ぐためには、これから紹介するような安全対策が万全に行われている業者に依頼するべきです。
現場環境の安全と従業員の健康を守るために、国からも工事現場の安全に関して遵守しなければならない法律を定めています。
この法律は、労働基準法と同様に労働災害を防ぎ、労働者の安全と健康を確保して、快適な職場環境を整えるための法律です。労働安全衛生法に従い、安全衛生管理を徹底すると、従業員の生産性の向上、モチベーションの向上、人手不足の解消などが期待できます。
これは、厚生労働省が「労働安全衛生法」に基づいて制定した規則です。
労働環境の安全と衛生などを目的としていて、特にアスベストなどの人体に悪影響を及ぼす有害な物質についてや、解体工事で使用する機械の規制などについて規定されています。
公衆災害防止対策に関するガイドラインについては、 建築物の解体工事での、外壁等の崩落による事故の防止を図る法令、指針等の遵守を徹底した上で、さらに留意しなければならないことを示しています。このガイドラインは、静岡県富士市にて解体工事現場で外壁等の崩落による重大事故が発生したことを受けて定められました。
解体業者は、国や国土交通省で定められたルールを守ったうえで、いかなる時も現場での安全対策を徹底して行う必要があります。では、どのような安全対策を行っている業者が信頼できる業者と言えるのでしょうか。
危険予知活動は、通称KY活動と呼ばれます。KY活動には、主に4つの項目があります。
「現状把握」
当日の作業内容にはどのような危険が潜んでいるのか、作業員が確認し、問題があれば指摘します。
「本質追求」
指摘内容が一通り出たら、「なぜ事故が起こりうるのか」の原因追求をし、問題点を整理します。
「対策樹立」
問題点を整理したら、改善策・解決策を立てていきます。
「目標設定」
改善策・解決策を討論し、作業員全員の合意の上、全体目標を設定し共有します。
作業中の現場には関係者しか立ち入れないように、立ち入り禁止の表示や措置をします。重機を使用する場合には、倒壊や落下のおそれもあるので、一般の人を巻き込まないために、場所に余裕をもって立ち入り禁止措置を施します。
ガスボンベ等の撤去作業や一部塗料にも、発火の危険性があるため、火災や爆発が起こらないように細心の注意を払い、火器の使用場所を指定したり、エリア責任者を定めて管理することが大切です。
5S活動とは、「整理・整頓・清潔・清掃・躾」の頭文字をとって省略した言葉です。ルールを守って活動することや、不要なものは処理し、現場の整理整頓をして清潔を保っていくことは、安全を守ることに繋がります。そして5S活動では、職場環境の美化や従業員のモラル向上が期待できるというメリットがあります。
周囲に人はいないか、落下や倒壊の危険があるものはないかを確認する監視や巡回員を置いて、作業中の安全維持・管理に努めます。
解体現場では、どれほど安全対策をしても、行いすぎるということは決して無く、対策すればするほど現場の安全に繋がり、従業員をはじめとして近隣の一般の人々も守ることができるといえます。そして業者選びは慎重に行い、国で定められた規則を遵守するのはもちろんのこと、現場ごとの安全対策もしっかりと行っている業者に依頼するようにしましょう。
そのような事態を起こさないためにも、きちんとした安全対策を行っている解体業者を選んで作業を依頼するようにしましょう。この記事では、実際に起きてしまった事故の一例を紹介してから、悲惨な事故が二度と起こらないように国で定められいる法律や、実際の現場で留意されるべき点を説明していきます。
残念ながら、解体工事中の事故というのは毎年発生しています。解体工事は大きな機材で建築物や工作物を壊していくため、事故が起こってしまったときは、大規模な事故に発展してしまうことも珍しくありません。では、今までに実際にどんな事故が発生したのか、また、安全に解体工事を行うために実際の工事現場では、どんなことに注意して作業が行われているのかを見ていきましょう。
解体工事現場における事故
ここでは、実際に発生した事故の一例を紹介します。作業中の従業員に限らず、偶然近くを通りかかった一般の人に被害が及んでしまうこともあります。
壁や建物の倒壊・落下
平成20年7月3日、東京都品川区にて発生した事故です。木造二階建て建物の解体工事にて、解体中の建物が傾き、外壁を覆っていたシートと足場の金属製パイプが、隣接するJRの線路上に落下し、JR線24本が運休し計約6万人に影響が出ました。
重機の不具合
平成22年10月14日、岐阜県岐阜市にて発生した事故です。アルミ加工工場の解体工事の現場で、作業中のクレーンの先端が、壁に固定されていた足場に引っかかったため、外そうとする動きをしたところ、コンクリート製の外壁が、高さ約11m、幅約18mにわたって道路(市道)側に倒壊しました。そこに自転車で通りかかった女子高生が倒壊した壁の下敷きとなり、死亡する事故が起きました。
足場からの転落
平成23年12月、長野県にて発生した事故です。平屋工場(鉄骨造)の解体工事中、作業員が屋根の上で屋根を固定しているフックとナットを取り外す作業を、歩み板、防網などの踏み抜き防止措置を講じないまま行っていたところ、墜落する事故が起きました。作業員は、屋根材を踏み抜き、高さ約10m下のコンクリート床に墜落し、死亡しました。踏み抜き事故は多発している現状があります。
上記の例はほんの一例にすぎません。解体工事中の事故は、罪のない人の命も突然簡単に奪いうる悲惨なものです。事故を防ぐためには、これから紹介するような安全対策が万全に行われている業者に依頼するべきです。
国で定められた安全対策とは
現場環境の安全と従業員の健康を守るために、国からも工事現場の安全に関して遵守しなければならない法律を定めています。
労働安全衛生法
この法律は、労働基準法と同様に労働災害を防ぎ、労働者の安全と健康を確保して、快適な職場環境を整えるための法律です。労働安全衛生法に従い、安全衛生管理を徹底すると、従業員の生産性の向上、モチベーションの向上、人手不足の解消などが期待できます。
労働安全衛生規則
これは、厚生労働省が「労働安全衛生法」に基づいて制定した規則です。
労働環境の安全と衛生などを目的としていて、特にアスベストなどの人体に悪影響を及ぼす有害な物質についてや、解体工事で使用する機械の規制などについて規定されています。
国土交通省のガイドライン
公衆災害防止対策に関するガイドラインについては、 建築物の解体工事での、外壁等の崩落による事故の防止を図る法令、指針等の遵守を徹底した上で、さらに留意しなければならないことを示しています。このガイドラインは、静岡県富士市にて解体工事現場で外壁等の崩落による重大事故が発生したことを受けて定められました。
業者で行うべき安全対策
解体業者は、国や国土交通省で定められたルールを守ったうえで、いかなる時も現場での安全対策を徹底して行う必要があります。では、どのような安全対策を行っている業者が信頼できる業者と言えるのでしょうか。
危険予知活動
危険予知活動は、通称KY活動と呼ばれます。KY活動には、主に4つの項目があります。
「現状把握」
当日の作業内容にはどのような危険が潜んでいるのか、作業員が確認し、問題があれば指摘します。
「本質追求」
指摘内容が一通り出たら、「なぜ事故が起こりうるのか」の原因追求をし、問題点を整理します。
「対策樹立」
問題点を整理したら、改善策・解決策を立てていきます。
「目標設定」
改善策・解決策を討論し、作業員全員の合意の上、全体目標を設定し共有します。
立ち入り禁止措置
作業中の現場には関係者しか立ち入れないように、立ち入り禁止の表示や措置をします。重機を使用する場合には、倒壊や落下のおそれもあるので、一般の人を巻き込まないために、場所に余裕をもって立ち入り禁止措置を施します。
火器に関する安全対策
ガスボンベ等の撤去作業や一部塗料にも、発火の危険性があるため、火災や爆発が起こらないように細心の注意を払い、火器の使用場所を指定したり、エリア責任者を定めて管理することが大切です。
5S活動
5S活動とは、「整理・整頓・清潔・清掃・躾」の頭文字をとって省略した言葉です。ルールを守って活動することや、不要なものは処理し、現場の整理整頓をして清潔を保っていくことは、安全を守ることに繋がります。そして5S活動では、職場環境の美化や従業員のモラル向上が期待できるというメリットがあります。
安全パトロール
周囲に人はいないか、落下や倒壊の危険があるものはないかを確認する監視や巡回員を置いて、作業中の安全維持・管理に努めます。
まとめ
解体現場では、どれほど安全対策をしても、行いすぎるということは決して無く、対策すればするほど現場の安全に繋がり、従業員をはじめとして近隣の一般の人々も守ることができるといえます。そして業者選びは慎重に行い、国で定められた規則を遵守するのはもちろんのこと、現場ごとの安全対策もしっかりと行っている業者に依頼するようにしましょう。
2021.1.17