解体工事は危険と隣り合わせ!?安全対策を学ぼう
昨今、解体工事の需要は高まってきています。その一方で、解体工事は常に危険と隣り合わせであるため、工事中の事故が多発しています。この記事では、解体工事の事故例や、国や解体業者による安全対策をご紹介します。安全対策を学び、解体工事中の事故を防いでいけるようにしましょう。
解体工事は常に危険と隣り合わせであり、近年痛ましい事故も増えています。建設業労働災害防止協会の調査にでは、「解体工事業による労働災害は、平成10年から平成12年の間で死亡者は77名までに及んだ」とわかっています。解体工事の事故例から、安全対策の重要性とその方法を学んでいきましょう。
建物や立地によって異なる場合もありますが、解体工事では落下物や騒音などを考慮しながら、建物の内側を取り壊し、その後外壁を壊すという流れが一般的です。しかし、建物の内側を取り壊している最中に外壁が崩壊してしまい、作業員が外壁の下敷きになったり、周囲の建物が破損するなどの事故が発生しています。
その事例として、埼玉新聞Webサイト掲載の事故があります。
「2016年1月7日午前11時55分ごろ、戸田市美女木2丁目の美女木小学校東側歩道の下水路の工事現場で、さいたま市桜区の男性土木作業員(35)が落下してきたコンクリートの下敷きになったと119番があった。男性は川越市内の病院に搬送されたが、頭と胸を骨折するなどして意識不明の重体。」
この事例から学ぶべきことは、解体工事中、崩落の可能性がある危険な地点や、廃棄物を運搬する際に落下のおそれがある地点には、作業員を近づけてはいけないということです。またもしもの場合に備えて、作業員同士が合図を送りやすい環境を整えるようにしましょう。
解体工事では、ショベルカーやダンプカーなどの重機を使用します。近年では、より大型で強力なものが使用されるようになっており、高い技術が作業員に求められています。こうした車輌や重機を建物が密集している場所で使用しているため、現場には多くの危険が伴ってます。実際に、解体工事中に重機が横転し、作業員や通行者に被害が及ぶケースも発生しています。
その事例として、TBSニュース掲載(元記事削除)の事故があります。
「2015年5月13日午後、墨田区東向島の労働基準監督署の庁舎の解体工事現場で、鉄筋を運んでいた重機がバランスを崩して横転し、およそ1メートル下に落下しました。救急隊が駆けつけたところ、操縦していた58歳とみられる作業員の男性が操縦席に閉じこめられていて、病院に運ばれましたが、その後、死亡しました。」
このように重機が横転するなどの事故が発生した場合は、中に残された作業員を助けることを第一優先しましょう。横転した重機を元に戻すことは不可能です。
解体工事での痛ましい事故を発生させないために、国は安全対策を規定しています。どのような法律や取り決めがあるのかをご紹介します。解体工事を行う際は、ここでの安全対策を守るようにしましょう。
厚生労働省「労働安全衛生法」によると、労働安全衛生法は「労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。」と定義されています。
具体的には以下の取り決めがなされています。
「一定規模以上の事業場においては、安全衛生業務全般を統括する責任者を選定しなければならない。また労働者が100人以上使用する現場では安全委員会を、50人以上使用する現場では衛生委員会を設置することが義務付けられています。」
「機械の規制に関して、危険を伴う作業を行う場合、その機械の製造に労働基準局長の許可が必要であり、作業員に危害を及ぼすような可能性がある機械に対しては、譲渡・貸与に制限がかけられます。」
「作業員に対して医師による健康診断を実施することを義務付けています。また、長時間の労働者へは医師による面接指導を実施することも義務付けられました。」
事故の発生を防ぐために、解体工事の業者も安全対策を徹底しています。具体的には、KY(危険予知)活動や立ち入り禁止措置、5S活動、安全パトロールなどがあります。
KY(危険予知)活動は、事故や災害を未然に防ぐために前もって危険を予想しあう訓練活動のことをいいます。具体的には、1.現状把握、2.本質追求、3.対策樹立、4.目標設定の4項目から構成されています。
立ち入り禁止措置は、工事中の現場に、作業員等の関係者以外が立ち入らないようにするためのものです。具体的には、ロードコーンの設置や標識テープの貼り付けなどを行います。
5S活動は、整理、整頓、清掃、清潔、躾の5項目に基づいた業務管理のことをいいます。5Sとは、5項目の頭文字をとった言葉です。5S活動の効果には、職場環境の美化や作業員のモラル向上などがあります。
安全パトロールは、工事現場付近に一般の方がいないか、危険物はないかなどを定期的に確認する巡視者を配置し、その場の安全を確保することをいいます。
以上4つが基本となる解体業者による安全対策です。これらの安全対策を網羅している業者は、優良業者であると判断できます。ぜひ業者選びの参考にしてみてください。
解体工事中の事故を発生させないためには、安全対策をきちんと行っている解体業者を選定する必要があります。ここでは、そのポイントをご紹介します。
まず事前の現地調査において、1.境界線、2.地中物、以上2点の確認を行っている解体業者は安全対策をきちんと行っていると考えられます。境界線の確認については、敷地がブロック塀などで区切られている区域において、隣人トラブルを避ける役割をしています。地中物の確認は、建物の図面を見て、事前に配水などの地中物の有無を確認することをいいます。地中物を確認は、より安全な工事につながります。
また、足場を正しく設置している業者や、手入れされた養生シートを使用している業者も安全対策をきちんと行っていると判断できます。足場を正しく設置すべきなのは、足場からの転落や機材の落下などを防ぐためです。また養生シートは、音やほこりを防ぎ、耐火機能を持つなど解体工事において重要な役割を担います。そのため、手入れされた養生シートが望ましいと考えられます。
解体工事は、常に危険と隣り合わせです。解体工事中の事故は増え続けており、未然に防ぐことはできていません。事故を減らしていくためには、安全対策が必須となります。この記事では、国や解体業者による安全対策をご紹介しました。どのような安全対策が必要かを学び、その対策を行っている解体業者を選ぶようにしましょう。
解体工事の事故例
解体工事は常に危険と隣り合わせであり、近年痛ましい事故も増えています。建設業労働災害防止協会の調査にでは、「解体工事業による労働災害は、平成10年から平成12年の間で死亡者は77名までに及んだ」とわかっています。解体工事の事故例から、安全対策の重要性とその方法を学んでいきましょう。
壁や建物の崩壊による事故
建物や立地によって異なる場合もありますが、解体工事では落下物や騒音などを考慮しながら、建物の内側を取り壊し、その後外壁を壊すという流れが一般的です。しかし、建物の内側を取り壊している最中に外壁が崩壊してしまい、作業員が外壁の下敷きになったり、周囲の建物が破損するなどの事故が発生しています。
その事例として、埼玉新聞Webサイト掲載の事故があります。
「2016年1月7日午前11時55分ごろ、戸田市美女木2丁目の美女木小学校東側歩道の下水路の工事現場で、さいたま市桜区の男性土木作業員(35)が落下してきたコンクリートの下敷きになったと119番があった。男性は川越市内の病院に搬送されたが、頭と胸を骨折するなどして意識不明の重体。」
この事例から学ぶべきことは、解体工事中、崩落の可能性がある危険な地点や、廃棄物を運搬する際に落下のおそれがある地点には、作業員を近づけてはいけないということです。またもしもの場合に備えて、作業員同士が合図を送りやすい環境を整えるようにしましょう。
車輌や重機との衝突・横転
解体工事では、ショベルカーやダンプカーなどの重機を使用します。近年では、より大型で強力なものが使用されるようになっており、高い技術が作業員に求められています。こうした車輌や重機を建物が密集している場所で使用しているため、現場には多くの危険が伴ってます。実際に、解体工事中に重機が横転し、作業員や通行者に被害が及ぶケースも発生しています。
その事例として、TBSニュース掲載(元記事削除)の事故があります。
「2015年5月13日午後、墨田区東向島の労働基準監督署の庁舎の解体工事現場で、鉄筋を運んでいた重機がバランスを崩して横転し、およそ1メートル下に落下しました。救急隊が駆けつけたところ、操縦していた58歳とみられる作業員の男性が操縦席に閉じこめられていて、病院に運ばれましたが、その後、死亡しました。」
このように重機が横転するなどの事故が発生した場合は、中に残された作業員を助けることを第一優先しましょう。横転した重機を元に戻すことは不可能です。
国による安全対策
解体工事での痛ましい事故を発生させないために、国は安全対策を規定しています。どのような法律や取り決めがあるのかをご紹介します。解体工事を行う際は、ここでの安全対策を守るようにしましょう。
労働安全衛生法
厚生労働省「労働安全衛生法」によると、労働安全衛生法は「労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。」と定義されています。
具体的には以下の取り決めがなされています。
1. 安全衛生管理体制
「一定規模以上の事業場においては、安全衛生業務全般を統括する責任者を選定しなければならない。また労働者が100人以上使用する現場では安全委員会を、50人以上使用する現場では衛生委員会を設置することが義務付けられています。」
2. 機械等並びに危険物および有害物に関する規制
「機械の規制に関して、危険を伴う作業を行う場合、その機械の製造に労働基準局長の許可が必要であり、作業員に危害を及ぼすような可能性がある機械に対しては、譲渡・貸与に制限がかけられます。」
3. 健康の保持増進のための措置
「作業員に対して医師による健康診断を実施することを義務付けています。また、長時間の労働者へは医師による面接指導を実施することも義務付けられました。」
解体業者による安全対策
事故の発生を防ぐために、解体工事の業者も安全対策を徹底しています。具体的には、KY(危険予知)活動や立ち入り禁止措置、5S活動、安全パトロールなどがあります。
KY(危険予知)活動は、事故や災害を未然に防ぐために前もって危険を予想しあう訓練活動のことをいいます。具体的には、1.現状把握、2.本質追求、3.対策樹立、4.目標設定の4項目から構成されています。
立ち入り禁止措置は、工事中の現場に、作業員等の関係者以外が立ち入らないようにするためのものです。具体的には、ロードコーンの設置や標識テープの貼り付けなどを行います。
5S活動は、整理、整頓、清掃、清潔、躾の5項目に基づいた業務管理のことをいいます。5Sとは、5項目の頭文字をとった言葉です。5S活動の効果には、職場環境の美化や作業員のモラル向上などがあります。
安全パトロールは、工事現場付近に一般の方がいないか、危険物はないかなどを定期的に確認する巡視者を配置し、その場の安全を確保することをいいます。
以上4つが基本となる解体業者による安全対策です。これらの安全対策を網羅している業者は、優良業者であると判断できます。ぜひ業者選びの参考にしてみてください。
解体業者の選び方
解体工事中の事故を発生させないためには、安全対策をきちんと行っている解体業者を選定する必要があります。ここでは、そのポイントをご紹介します。
まず事前の現地調査において、1.境界線、2.地中物、以上2点の確認を行っている解体業者は安全対策をきちんと行っていると考えられます。境界線の確認については、敷地がブロック塀などで区切られている区域において、隣人トラブルを避ける役割をしています。地中物の確認は、建物の図面を見て、事前に配水などの地中物の有無を確認することをいいます。地中物を確認は、より安全な工事につながります。
また、足場を正しく設置している業者や、手入れされた養生シートを使用している業者も安全対策をきちんと行っていると判断できます。足場を正しく設置すべきなのは、足場からの転落や機材の落下などを防ぐためです。また養生シートは、音やほこりを防ぎ、耐火機能を持つなど解体工事において重要な役割を担います。そのため、手入れされた養生シートが望ましいと考えられます。
まとめ
解体工事は、常に危険と隣り合わせです。解体工事中の事故は増え続けており、未然に防ぐことはできていません。事故を減らしていくためには、安全対策が必須となります。この記事では、国や解体業者による安全対策をご紹介しました。どのような安全対策が必要かを学び、その対策を行っている解体業者を選ぶようにしましょう。
2020.8.18