意外と知られていない!爆破解体の実態とは?
解体といえば、油圧ショベルなどの解体重機を使って建物を壊していくことがいまや常識です。しかしながら、解体におけるこの常識は日本にのみ通ずるもので、海外ではそのほかの手法で建物の解体が行われています。その代表ともいえるのが、今回のテーマである『爆破解体』です。爆破解体は日本では行われない解体方法であるため、その実態は意外と知られていないものです。そこで今回は、私たち日本人には馴染みのない爆破解体の実態に迫ります。
爆破解体とは、建築物をダイナマイトなどの爆薬を使って解体することを指します。この爆破解体の対象となるのは、主に高層ビルや橋などの大型の建築物です。爆破解体の最大のメリットは「安価かつ容易に解体することができる」、これに尽きるでしょう。具体的には、
・人件費が削減できる
・解体の作業時間が短縮できる
こうしたメリットがあります。そのため、海外ではしばしば採用される解体方法です (日本で行われない理由については後述します) 。
ここで爆破解体のプロセスについて解説します。爆薬で一気に解体するという性質上、「簡単」「単純」など、技術的な面でどうしても軽視されがちな爆破解体。果たして実際のところはどうなのでしょうか。
爆破解体を行う際には、緻密に計算された最低限の爆薬を適切な場所に設置します。爆破によって建築物の均衡を崩して、それにより強大な重量で自壊することを後押しします。この爆破解体で重要となるのが、敷地の内側に構造の自重によって倒れ込ませ、折り重なるように倒壊させることです。これには相当な技術と経験が不可欠となります。爆破解体は強い迫力とその見た目の派手さから、ショー的な要素を強く含んでいるといえるでしょう。これは時折、その解体の様子がテレビで報道されることが裏付けています。
ここからは、日本と爆破解体の関係について解説していきます。私たち日本人が爆破解体に馴染みのない理由が浮き彫りになることでしょう。
・法律による規制が厳しい
日本で爆破解体が行われない理由のひとつとして、日本では火薬などに関する法律上の規制が諸外国に比べて厳しいことが挙げられます。諸外国でとられる手法で爆破解体を行おうとしても、日本国内ではこれが法規制に引っかかってしまう可能性があります。これを避けるため、法規制に則って爆破解体を行うとなると、コストや手間がかかりすぎるために現実的ではありません。
・爆破解体に向かない環境である① 「建物が密集している」
爆破解体を行えば、当然のことながら建築物は一瞬のうちに崩れます。高層ビルなどをこの手法で解体すれば、解体ガラ (コンクリート・ブロック片など) が高い位置から落ちてくる可能性もあります。そうなれば、地面に強く叩きつけられた解体ガラが四方八方に飛び散ることは想像に難くないでしょう。
こうした場合、建物間の距離が十分に保たれていれば問題はありませんが、日本は諸外国に比べて建物同士がかなり密集しています。現行の解体重機を用いた解体ですらこれにとても気を遣っているくらいですから、これが爆破による解体となれば尚のことです。これもまた現実的ではありません。
・爆破解体に向かない環境である② 「日本の建築物は頑丈」
先述の通り、爆破解体では建物を内側に向かって崩壊させるのがセオリーです。そのため、爆破解体を行う際には、緻密な計算や調整がされることになります。
しかし日本の建物は、諸外国のものに比べて頑丈であるといわれており、それにより火薬量の調整の難しさが指摘されています。
爆破解体では、使用する火薬の量が工事を成功させるための重要なポイントです。そのため、工事の安全性や効率性を考えると、日本における爆破解体が適性であるとは言い難いでしょう。
ここまでお伝えした通り、日本は爆破解体に向かない環境です。とはいえ、これまで一度も爆破解体が行われなかったわけではありません。
日本で最初に爆破解体が行われたのは1986年「国際科学技術博覧会」の国際連合平和館の解体工事でした。
この建物は特殊な工法で建設されており、解体重機などによる解体はかえって危険であると判断され、爆破解体によって壊されました。そしてそれ以降、日本において爆破解体はほとんどみられませんでした。ちなみに日本で最後に爆破解体が行われたのは、1992年「木の岡レイクサイドビル」の解体工事でした。それから現在に至るまで、およそ30年間国内では爆破解体が行われていないというのが現状です。
その実態をあまり知られていない『爆破解体』。本記事の解説で、ダイナミックな印象とは裏腹に、とても繊細な解体手法であるということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
多くの人がその実態を知ることがないという事実の裏には、日本の国内事情が大きく関係していました。
爆破解体とは?
爆破解体とは、建築物をダイナマイトなどの爆薬を使って解体することを指します。この爆破解体の対象となるのは、主に高層ビルや橋などの大型の建築物です。爆破解体の最大のメリットは「安価かつ容易に解体することができる」、これに尽きるでしょう。具体的には、
・人件費が削減できる
・解体の作業時間が短縮できる
こうしたメリットがあります。そのため、海外ではしばしば採用される解体方法です (日本で行われない理由については後述します) 。
爆破解体のプロセス
ここで爆破解体のプロセスについて解説します。爆薬で一気に解体するという性質上、「簡単」「単純」など、技術的な面でどうしても軽視されがちな爆破解体。果たして実際のところはどうなのでしょうか。
爆破解体を行う際には、緻密に計算された最低限の爆薬を適切な場所に設置します。爆破によって建築物の均衡を崩して、それにより強大な重量で自壊することを後押しします。この爆破解体で重要となるのが、敷地の内側に構造の自重によって倒れ込ませ、折り重なるように倒壊させることです。これには相当な技術と経験が不可欠となります。爆破解体は強い迫力とその見た目の派手さから、ショー的な要素を強く含んでいるといえるでしょう。これは時折、その解体の様子がテレビで報道されることが裏付けています。
日本と爆破解体
ここからは、日本と爆破解体の関係について解説していきます。私たち日本人が爆破解体に馴染みのない理由が浮き彫りになることでしょう。
なぜ日本では爆破解体が行われないのか
・法律による規制が厳しい
日本で爆破解体が行われない理由のひとつとして、日本では火薬などに関する法律上の規制が諸外国に比べて厳しいことが挙げられます。諸外国でとられる手法で爆破解体を行おうとしても、日本国内ではこれが法規制に引っかかってしまう可能性があります。これを避けるため、法規制に則って爆破解体を行うとなると、コストや手間がかかりすぎるために現実的ではありません。
・爆破解体に向かない環境である① 「建物が密集している」
爆破解体を行えば、当然のことながら建築物は一瞬のうちに崩れます。高層ビルなどをこの手法で解体すれば、解体ガラ (コンクリート・ブロック片など) が高い位置から落ちてくる可能性もあります。そうなれば、地面に強く叩きつけられた解体ガラが四方八方に飛び散ることは想像に難くないでしょう。
こうした場合、建物間の距離が十分に保たれていれば問題はありませんが、日本は諸外国に比べて建物同士がかなり密集しています。現行の解体重機を用いた解体ですらこれにとても気を遣っているくらいですから、これが爆破による解体となれば尚のことです。これもまた現実的ではありません。
・爆破解体に向かない環境である② 「日本の建築物は頑丈」
先述の通り、爆破解体では建物を内側に向かって崩壊させるのがセオリーです。そのため、爆破解体を行う際には、緻密な計算や調整がされることになります。
しかし日本の建物は、諸外国のものに比べて頑丈であるといわれており、それにより火薬量の調整の難しさが指摘されています。
爆破解体では、使用する火薬の量が工事を成功させるための重要なポイントです。そのため、工事の安全性や効率性を考えると、日本における爆破解体が適性であるとは言い難いでしょう。
日本で行われた爆破解体事例
ここまでお伝えした通り、日本は爆破解体に向かない環境です。とはいえ、これまで一度も爆破解体が行われなかったわけではありません。
日本で最初に爆破解体が行われたのは1986年「国際科学技術博覧会」の国際連合平和館の解体工事でした。
この建物は特殊な工法で建設されており、解体重機などによる解体はかえって危険であると判断され、爆破解体によって壊されました。そしてそれ以降、日本において爆破解体はほとんどみられませんでした。ちなみに日本で最後に爆破解体が行われたのは、1992年「木の岡レイクサイドビル」の解体工事でした。それから現在に至るまで、およそ30年間国内では爆破解体が行われていないというのが現状です。
終わりに
その実態をあまり知られていない『爆破解体』。本記事の解説で、ダイナミックな印象とは裏腹に、とても繊細な解体手法であるということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
多くの人がその実態を知ることがないという事実の裏には、日本の国内事情が大きく関係していました。
2019.12.2