知らないと大問題に!?アスベスト解体工事の前に把握しておくべきこと
昨今需要が高まっているアスベスト解体工事ですが、工事が始まる前に知っておくべきことが数多くあります。この記事では、アスベスト解体工事とは何か、アスベスト解体工事の流れ、業者選びのポイントなど、工事を円滑に進めていくために必要な知識をご紹介します。アスベスト解体工事の際は、ここでの知識を役立てていきましょう。
まずアスベストについての基本情報をご紹介します。
厚生労働省「アスベスト(石綿)に関するQ&A」によると、アスベストは「天然に産する繊維状けい酸塩鉱物で、せきめん、いしわたとも呼ばれています。その繊維は極めて細く、研磨機や切断機などの施設での使用や飛散しやすい吹付け石綿などの除去等において所要の措置を行わないと、人が吸引してしまうおそれがあります。」と定義されています。
アスベストを吸引することで発症する病気には石綿肺や肺がん、悪性中皮腫などがあり、その取り扱いは厳重に行う必要があります。
アスベストはビル等の建築工事において保温断熱の目的で使用されていましたが、昭和50年に原則使用禁止となりました。しかしその後も1970年から1990年にかけて大量輸入され、スレート材やブレーキライニング、ブレーキパッド、防音材、断熱材、保温材などに使用されてきました。現在では、原則としてアスベストを含む建材の製造が禁止となっています。
アスベストの使用は現在禁止されていますが、かつて建材として重宝されていたため、アスベストを含むビル等は数多くあります。そうしたビルを解体するにあたっては、様々に留意する点があります。
環境省「建物を壊すときにはどうしたら良いの?」では、アスベスト解体工事について以下の取り決めがされています。
(1)「建築物又は工作物の解体等の作業を行うときは、あらかじめ石綿(アスベスト)の使用の有無を調査する必要があります。石綿等の使用の有無を目視、設計図書等により調査し、それでは明らかとならなかったときには、石綿の使用の有無を分析しなければなりません。」
(2)「アスベストが使用されている建築物又は工作物の解体等の作業を行うときは、大気汚染防止法に基づき、アスベストの除去等に係る一連の作業を開始する14日前までに、都道府県等に届出を行い、アスベスト飛散防止のための作業基準を遵守しなければなりません。なお労働安全衛生法や廃棄物処理法等の遵守も必要です。」
このようにアスベストと解体工事は密接な関係にあり、適切な対応が求められます。
アスベスト解体工事開始までの流れを説明します。建物の状況により対応が異なる場合があるため、一般的な流れとしておさえておきましょう。
まず業者に解体工事の依頼を行います。そこでは、アスベストの有無についての現地での調査および正確な見積もりの算出を行っている業者を選ぶようにしましょう。
現地調査の結果をもとに、解体の順序や重機の移動ルートなどを計画します。またアスベストの処理計画や、環境保全計画を作成します。
必要となる届出は3種類あります。
(1)工事計画届(耐火・準耐火建築物)
届出先:労働基準監督署
時期:14日前まで
対象工事:除去処理工事のみ
(2)作業届(耐火・準耐火以外の建築物及び工作物)
届出先:労働基準監督署
時期:作業開始まで
対象工事:除去処理工事のみ
(3)工事計画届(建築物)
届出先:都道府県知事等
時期:14日前まで
対象工事:除去・封じ込め・囲い込み処理工事
解体工事が始まると近隣の方々に迷惑をかけることも多くなります。事前に近隣の方々に挨拶や説明をし、円滑に工事を行えるようにしましょう。
ガスや電気をつなげたまま工事を行うことは危険です。ガスや電気、電話の引込配管、配線の撤去は前もって手配しておきましょう。
以上5つを経たのちに、アスベスト解体工事は開始されます。基本的に業者と共に工事開始までの準備を行うことが一般的ですが、自身で流れを把握し、円滑に進めていくことが大切です。
アスベスト解体工事をめぐっては、留意しなければならない点がいくつかあります。ここでは、とりわけ注意すべき点をご紹介します。
注意すべき点は、1.事前調査を正確に行う、2.悪徳業者を避ける、3.アスベスト業者と解体業者で連携、以上の3点です。
事前調査を正確に行うことの理由としては、実際に不十分な事前調査がなされることが多いためです。不十分な事前調査が行われて解体途中にアスベストが見つかるなどしてしまうと、予算に合わずに工事中断という事態を招くことにもなります。
悪徳業者についても充分な注意が必要です。見積もりの安さなどを魅力的に感じ、悪徳業者を利用してしまうケースがあります。悪徳業者はいわば違法で工事を行っています。アスベストを飛散させてしまう事態も考えられます。
アスベスト業者と解体業者で連携することについては、アスベスト解体工事の流れが関連しています。アスベスト解体工事では、まず解体業者がアスベスト含有建材が使われている天井を残し、それ以外を撤去します。その後、アスベスト業者がアスベスト含有建材を除去します。こうした工事の流れにおいて、アスベスト業者と解体業者の連携は必須となります。
アスベスト解体工事において、悪徳業者による被害が目立ってきています。ずさんな工事が原因で、アスベストが飛散してしまうなどのケースもあります。こうした事態を避けるために、数ある業者の中で優良業者を選ぶポイントを紹介していきます。
1. 丁寧な説明や詳細な見積もりを提示している
2. 自社でアスベスト用機材や解体用重機を揃えている
3. アスベスト解体工事に必要な資格や許可を有している
4. 廃棄物処理を適切に行っている
5. 工事前に契約書を締結する
6. 公式Webページ等に豊富な施工実績が掲載されている
以上6つに相当する業者が優良業者といえます。これらのポイントを意識しながら業者選びを行いましょう。また口コミサイトなどを利用し、より多くの業者を比較した上で選定することをおすすめします。
アスベストは石綿肺や肺がん、悪性中皮腫などを引き起こす危険物であるため、アスベスト解体工事においては厳重な対応が必要となります。そのためにアスベストに関する知識やアスベスト解体工事についての取り決め、流れを把握しておくことが不可欠です。実際にアスベスト解体工事に取り掛かる際には、もう一度ここで知識のおさらいをしておきましょう。
アスベストとは
まずアスベストについての基本情報をご紹介します。
厚生労働省「アスベスト(石綿)に関するQ&A」によると、アスベストは「天然に産する繊維状けい酸塩鉱物で、せきめん、いしわたとも呼ばれています。その繊維は極めて細く、研磨機や切断機などの施設での使用や飛散しやすい吹付け石綿などの除去等において所要の措置を行わないと、人が吸引してしまうおそれがあります。」と定義されています。
アスベストを吸引することで発症する病気には石綿肺や肺がん、悪性中皮腫などがあり、その取り扱いは厳重に行う必要があります。
アスベストをめぐる法改正
アスベストはビル等の建築工事において保温断熱の目的で使用されていましたが、昭和50年に原則使用禁止となりました。しかしその後も1970年から1990年にかけて大量輸入され、スレート材やブレーキライニング、ブレーキパッド、防音材、断熱材、保温材などに使用されてきました。現在では、原則としてアスベストを含む建材の製造が禁止となっています。
アスベスト解体工事
アスベストの使用は現在禁止されていますが、かつて建材として重宝されていたため、アスベストを含むビル等は数多くあります。そうしたビルを解体するにあたっては、様々に留意する点があります。
アスベスト解体工事にかかる取り決め
環境省「建物を壊すときにはどうしたら良いの?」では、アスベスト解体工事について以下の取り決めがされています。
(1)「建築物又は工作物の解体等の作業を行うときは、あらかじめ石綿(アスベスト)の使用の有無を調査する必要があります。石綿等の使用の有無を目視、設計図書等により調査し、それでは明らかとならなかったときには、石綿の使用の有無を分析しなければなりません。」
(2)「アスベストが使用されている建築物又は工作物の解体等の作業を行うときは、大気汚染防止法に基づき、アスベストの除去等に係る一連の作業を開始する14日前までに、都道府県等に届出を行い、アスベスト飛散防止のための作業基準を遵守しなければなりません。なお労働安全衛生法や廃棄物処理法等の遵守も必要です。」
このようにアスベストと解体工事は密接な関係にあり、適切な対応が求められます。
アスベスト解体工事開始までの流れ
アスベスト解体工事開始までの流れを説明します。建物の状況により対応が異なる場合があるため、一般的な流れとしておさえておきましょう。
1. 調査依頼
まず業者に解体工事の依頼を行います。そこでは、アスベストの有無についての現地での調査および正確な見積もりの算出を行っている業者を選ぶようにしましょう。
2. 施工計画の作成
現地調査の結果をもとに、解体の順序や重機の移動ルートなどを計画します。またアスベストの処理計画や、環境保全計画を作成します。
3. アスベスト解体工事の届出
必要となる届出は3種類あります。
(1)工事計画届(耐火・準耐火建築物)
届出先:労働基準監督署
時期:14日前まで
対象工事:除去処理工事のみ
(2)作業届(耐火・準耐火以外の建築物及び工作物)
届出先:労働基準監督署
時期:作業開始まで
対象工事:除去処理工事のみ
(3)工事計画届(建築物)
届出先:都道府県知事等
時期:14日前まで
対象工事:除去・封じ込め・囲い込み処理工事
4. 近隣へのご挨拶
解体工事が始まると近隣の方々に迷惑をかけることも多くなります。事前に近隣の方々に挨拶や説明をし、円滑に工事を行えるようにしましょう。
5. 引込配管、配線の撤去
ガスや電気をつなげたまま工事を行うことは危険です。ガスや電気、電話の引込配管、配線の撤去は前もって手配しておきましょう。
以上5つを経たのちに、アスベスト解体工事は開始されます。基本的に業者と共に工事開始までの準備を行うことが一般的ですが、自身で流れを把握し、円滑に進めていくことが大切です。
アスベスト解体工事の注意点
アスベスト解体工事をめぐっては、留意しなければならない点がいくつかあります。ここでは、とりわけ注意すべき点をご紹介します。
注意すべき点は、1.事前調査を正確に行う、2.悪徳業者を避ける、3.アスベスト業者と解体業者で連携、以上の3点です。
事前調査を正確に行うことの理由としては、実際に不十分な事前調査がなされることが多いためです。不十分な事前調査が行われて解体途中にアスベストが見つかるなどしてしまうと、予算に合わずに工事中断という事態を招くことにもなります。
悪徳業者についても充分な注意が必要です。見積もりの安さなどを魅力的に感じ、悪徳業者を利用してしまうケースがあります。悪徳業者はいわば違法で工事を行っています。アスベストを飛散させてしまう事態も考えられます。
アスベスト業者と解体業者で連携することについては、アスベスト解体工事の流れが関連しています。アスベスト解体工事では、まず解体業者がアスベスト含有建材が使われている天井を残し、それ以外を撤去します。その後、アスベスト業者がアスベスト含有建材を除去します。こうした工事の流れにおいて、アスベスト業者と解体業者の連携は必須となります。
業者選びのポイント
アスベスト解体工事において、悪徳業者による被害が目立ってきています。ずさんな工事が原因で、アスベストが飛散してしまうなどのケースもあります。こうした事態を避けるために、数ある業者の中で優良業者を選ぶポイントを紹介していきます。
1. 丁寧な説明や詳細な見積もりを提示している
2. 自社でアスベスト用機材や解体用重機を揃えている
3. アスベスト解体工事に必要な資格や許可を有している
4. 廃棄物処理を適切に行っている
5. 工事前に契約書を締結する
6. 公式Webページ等に豊富な施工実績が掲載されている
以上6つに相当する業者が優良業者といえます。これらのポイントを意識しながら業者選びを行いましょう。また口コミサイトなどを利用し、より多くの業者を比較した上で選定することをおすすめします。
まとめ
アスベストは石綿肺や肺がん、悪性中皮腫などを引き起こす危険物であるため、アスベスト解体工事においては厳重な対応が必要となります。そのためにアスベストに関する知識やアスベスト解体工事についての取り決め、流れを把握しておくことが不可欠です。実際にアスベスト解体工事に取り掛かる際には、もう一度ここで知識のおさらいをしておきましょう。
2020.8.15