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自然災害で被災した場合に発行!罹災証明書の必要性

日本は、標高500メートル以上の地域が国土全体の4分の1を占めるほど山が多く、国土面積37万8000平方キロメートルに対して約25万平方キロメートルの森林面積で国土の約3分の2を森林が占めています。さらに四方は海に囲まれて、自然豊かな地域ということがいえるでしょう。そうした自然の恩恵を受けている日本ですが、一方で地震や台風、豪雨などの自然災害が多い地域としても知られています。そうした災害を受けた際に公的支援をうけるために必要なものに罹災証明書というものがあります。今回は罹災証明書について詳しく解説していきます。

四季折々が楽しめる自然豊かな日本ですが、2011年3月11日に発生した国内観測史上最大の地震だった東日本大震災や平成28年熊本地震、令和2年7月豪雨、最近でも大雨による冠水被害など、自然災害の多い場所です。どれだけ注意していたとしても、自宅が被害に逢うということもあるかもしれません。被害に逢った場合には公的支援をうけることができる場合がありますが、その被害を証明する必要があります。今回はその証明に必要な罹災証明書について詳しく紹介していきます。

 

損害程度を示す罹災証明書


罹災証明書とは、地震や台風をはじめとした自然災害などによって、住居等に被害を受けた場合に、公的支援を受けるために必要な書類です。どのような場合が対象になり、どのような支援が受けることができるのかを説明していきます。

 

罹災証明書について


罹災と書いて、りさいと呼びますが、意味としては災害にあって被害を被ることをいいます。
特に震災や火災、水害などの被害に遭遇した場合に使われることが多いですが、そうした被害を証明するものが罹災証明書です。この罹災証明書によって、様々な公的支援を受けることができるのです。地震、火災、台風、大雨、大雪、津波など、災害が多い日本では、いつ自宅に被害がおきるか分かりません。その前に十分な備えをするために罹災証明書について理解しておくことが大切です。

 

対象となる災害について


罹災証明書を発行してもらう前に、どのような災害が公的支援の対象になるかを確認しておきましょう。せっかく申請しても発行してもらえない場合があるからです。罹災証明書が発行される対象の災害は国や県が指定した災害になります。自治体によって異なる場合があるのですが、災害については災害対策基本法第2条第1項に定められており、災害、暴風、竜巻、豪雨、豪雪、洪水、崖崩れ、土石流、高潮、地震、津波、噴火、地滑りによる被害があります。その他でも、異常な自然現象や大規模な火事など被害の規模によっておこる災害による被害が対象になるのです。

 

どのような支援があるのか


災害によって被害に遭遇した場合、どのような支援が受けられるのかを見ていきます。公的支援は現金給付もあれば、税金等の免除、現物支給などがあります。具体的には給付は被災者生活再建支援金と言うものが受けれます。免除されるものとしては税金や保険料、公共料金が免除になります。さらに現物給付としては、応急仮説住宅が利用できたり、修繕するための住宅の応急修理制度があります。その他、緩和された条件により融資を受けることも可能になります。

 

罹災証明書の内容について


公的支援を受けることができるための罹災証明書ですが、どのような内容の証明書なのでしょうか。具体的な内容について見ていきます。

 

罹災証明書で証明する被害


住宅が被害にあった場合には市町村が被害認定調査を行うのですが、6段階の「全壊」「大規模半壊」「中規模半壊」「半壊」「準半壊」「一部損壊」で判定されます。「全壊」は損害を受けた部分が住家全体の50%以上で、「大規模半壊」は40%以上50%未満、「中規模半壊」は30%以上40%未満、「半壊」は20%以上30%未満、「準半壊」は10以上20%未満、準半壊に至らない「一部損壊」は10%未満で判定されますが、調査の結果被害なしという場合もあります。

 

罹災証明書の記載内容


罹災証明書の書面については、内閣府の罹災証明書の様式の統一化についてで確認できます。ただし、市町村によっては記載内容が異なる場合があるため、必ず自分が住んでいる市町村に確認しておきましょう。主な証明書の内容については世帯主住所、世帯主氏名、世帯構成員、罹災原因、罹災住家の所在地、住家の被害程度、その他追加記載事項の記入欄があります。先程の被害認定調査の結果は、住家の被害程度に記入されます。追加記載事項には床下浸水や床上浸水などの浸水の度合いや、住宅以外の建物や動産の被害の状況、罹災証明書の使用目的などが記載されます。

 

その他


ほとんどの自治体では、罹災証明書の対象は住家の被害に限られています。ちなみに住家とは人が居住している家屋建物を指しているため、倉庫や車庫、居住していない事務所や店舗は対象外となっています。また、住家は持ち家でも賃貸でも対象になります。その他、人的被害も対象にする自治体もあります。その場合は「死者」「行方不明」「重傷」「軽傷」の規定基準があります。他にも農業用施設も対象になる場合がありますが、こちらは「農業用罹災証明書」が発行されて農業協同組合や日本政策金融公庫からの融資が受けられるようになります。

 

罹災証明書の発行の流れ


実際に自分の身に災害がふりかかり罹災証明書を発行することになった場合は、いつまでにどこへ申請しなければいけないのでしょうか。こちらでは申請の流れを見ていきます。

 

罹災証明書に必要なもの


災害がおきた場合は罹災証明書を発行するための準備をしましょう。罹災証明書に必要なものとしては、罹災証明交付申請書があります。こちらは各市町村の担当部署に取りに行くか各市町村のホームページからダウンロードしましょう。また、適切に公的な支援を受けるために被害状況が分かる写真の準備も必要です。ただし、危険な場所には足を踏み入れない様にしましょう。また申請は本人以外に配偶者や同一世帯の親族が申請できるため、マイナンバーカードや運転免許証、パスポート、健康保険証など、本人確認できるものの準備が必要です。その他、各自治体によって申請に必要なものが異なるため、必ず申請前にチェックしておいた方が良さそうです。

 

申請をしにいくこと


罹災証明書を発行してもらうには、住んでいる市町村の担当部署に申請が必要です。方法としては窓口申請と郵送申請が可能です。ただし、火災に関しては所轄の消防署へ発行申請することになりますが、自治体によって異なることもあります。発行申請には被災した住家の住人がオーナーが行う必要がありますが、第三者にお願いする場合は委任状があれば申請できます。その他、親族などでも被災者との関係を確認するため戸籍謄本や住民票の確認をされる場合もあります。申請は被災してからおおよそ3か月前後という期限があるのですが、各自治体によって2週間のところもあれば半年以上のところもあります。さらには期限が決まっていても延長される場合もあります。ただし、申請期限を過ぎてしまうと、罹災証明書の発行がしてもらえず公的支援を受けることができなくなる可能性があるため、申請期限に関して不安な場合は必ず各市町村の担当部署に確認しておきましょう。

 

現地調査してもらう


罹災証明書の発行申請をすると、住宅の被害認定をするために調査員が現地調査をしにきます。どの様な基準で判定しているのかについては、災害に係る住家の被害認定 : 防災情報のページ - 内閣府で確認できます。調査員が現地に行けないような状況の災害の場合は航空写真やドローンが活用されたりもします。また被災者自身が撮影した写真によって、あきらかに被害状況が確認でき、被災者も判定に納得する場合は現地調査をしない場合もあるのですが、その場合は発行が通常よりも早く行われます。

 

罹災証明書の発行


現地調査が終わったあと、内閣府の被害認定基準に基づいて被害程度確認後、罹災証明が発行されます。発行されるまでは現地調査から1週間以上かかりますが、災害の規模によっては自治体の職員の業務が繁忙になるため、さらに時間を要する場合もあります。発行された罹災証明書には被害程度の結果が記載されますが、もし調査結果に納得できない場合は不服申し立てにより、再調査してもらえることもあります。

 

その他


罹災証明書の発行に関しては、運よく当日発行される場合もありますが、何カ月もかかることもあります。その間、保険金の請求や各種公的支援を受けることができない状況になります。そのためにあるのが当日発行してもらえる罹災届出証明書です。罹災届出証明書とは罹災証明書の発行を申請したことを証明する書類となります。罹災届出証明書の提出により各種公的支援を受けたり保険の請求もできたりするため、罹災証明書の発行に時間がかかりそうな場合は申請しておきましょう。

 

まとめ


災害はできれば避けたいものですが、いつ起きるのか分からないのが災害です。そうした災害ですが被害を受けたことがない方にとっては、今回紹介する罹災証明書を初めて目にする人がほとんどかもしれません。災害時に様々な公的支援を受けるのに必要な書類が罹災証明書なので、万が一被災した場合は、必ず罹災証明書を発行してもらいましょう。

2021.7.2