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壊すだけじゃない?解体工事の知られざる5つの手順とは

「解体工事」という言葉に対して「重機を使い建物を壊す」というイメージを持たれる方は多いのではないでしょうか。そのイメージはもちろん間違ってはいませんが、実は重機を使う前後には様々な工程があります。
今回この記事では、あまり知られていない5つの手順から解体工事をご説明していきます。

空き家の解体、古い建物を取り壊して新しいマンションの建設など、解体工事は誰もが数回は目にしたことがあると思います。大型の重機が建物を破壊していく、言葉にするとその危険さを実感すると思いますが、一般人が目にしている状況で行えているのは、前段階で周囲への騒音などを配慮し、安全を確保しているからです。

解体工事で重機を使って作業を行うのはほんの一部で、実は作業に取り掛かるまでに様々な手順が必要になります。
その見えない部分の手順も含めて解体工事についてご説明していきたいと思います。

 

1.障害物の撤去・保護作業


解体工事の作業工程が決定したら、まずは重機が入るスペースを確保するために障害物の撤去・保護作業から始めます。
工事後に残しておく物は撤去し、ブロック塀など動かせない物は傷つけないよう保護します。

また、後に出てくる廃棄物を保管しておくスペースも確保する必要があります。
この作業が不十分なまま終わってしまうと、後で取り返しのつかない事態が起こってしまう可能性があるからです。
そのため障害物の撤去・保護作業は慎重に行う必要があります。

 

2.足場・養生シートの設置


作業スペースの整備が完了したら、次に足場・養生シートの設置を行います。
高所で作業するための足場を組み、騒音・粉塵被害を防止するために養生シートを設置します。

解体工事で気をつけなければいけない事の1つに近隣トラブルがあります。
大型の重機で建物を解体するので、騒音や粉塵は事前に知らせておくことと共に、最小限に抑える必要があります。

そのため、建物の外周をしっかりと養生シートで覆っていきます。
まれに近隣との距離の近さから養生シートを設置しないケースもありますが、必ず事前に説明をして納得してもらってからではないと作業に進むことはできません。

 

3.不用品の撤去


足場・養生シートの設置が完了したら次に不用品の撤去に移ります。
建物の内部から廃棄物、壁紙、断熱材、外部の瓦や室外機、外壁など手作業で撤去できる物を全て撤去していきます。

廃棄物によっては簡単に撤去できない物があります。
特にアスベストやPCB(ポリ塩化ビフェニエル化合物)を含む物を扱う場合は注意が必要です。

アスベストは天井や柱以外にも、瓦や外壁、配管にも含まれており、瓦や外壁は水や薬液で湿らせながら取り外し、配管は防塵マスクや防護服を着て作業をしなければならない場合もあります。

配管に使われるアスベストは濃度や飛散性が高いので作業員の安全を第一に考えて作業を行っていきます。
また、PCBは体内に蓄積されると爪の変形、まぶたや関節の腫れなど様々な健康被害が出ると言われております。

撤去作業で必ずと言っても良いほど出てくる蛍光灯にはPCBが含まれており、破損すると周囲に飛散する可能性があります。
PCBは作業員の安全を確保することはもちろんのこと、撤去前に行政機関に報告をする必要が出てくるので要注意です。

 

4.建物の解体


建物内の撤去が完了したら、次に重機を使って建物の解体工事に入ります。
ですが、その作業をする前に近隣の安全を確保する必要があります。

重機を移動する際は誘導人や監視人をつけて通行人に影響がないように最新の注意を払い、作業場には人が入らないように措置を取ります。
安全を確保できたら重機を使って手作業では解体できない建物そのものを壊して撤去していきます。
この時に周囲へ大量のホコリが飛散されるので、それを抑えるために水を巻きながら作業を行います。

 

5.廃材の撤去


重機で建物の解体が完了したら、次に廃材の撤去に移ります。
出てきた廃材をコンクリート、鉄、木材など分別をしてトラックに乗せて搬出していきます。

ここでは、廃材をただそのままトラックに積むのではなく、再利用できるものとできないものに分別します。
解体工事と聞くと古い物を壊すというイメージが強いですが、古い物から新しい物を創り出す事も、実は解体工事の役割の1つになります。

分別後、トラックで搬出が終わったら建物がなくなった場所を整地します。
コンクリートやガラスのくずなどを取り除いて、重機で踏み固める作業で土地を綺麗な状態に戻します。
ここまで行うことでやっと解体工事が終了します。

 

終わりに


解体工事は大型の重機を使って建物を壊していく、そんなダイナミックな作業に目が行きがちですが目に見えないところで重要な作業がたくさんあります。
危険を伴う作業だからこそ、周囲とのトラブルを避けるための事前準備や当日の安全確保は徹底して行う必要があります。
また、古い建物をただ壊すだけではなく、資源の再利用や新しい土地の活用など「新しく使う」という視点を持って作業を行わなければなりません。
そんな解体工事の知られざる手順についてご紹介させていただきました。

2021.2.2