解体工事での要注意!アスベストの有無を確認しよう
解体工事を依頼する上で必ず調べておかないといけないことに、「アスベスト(石綿)の有無」があります。アスベストは、以前は住宅の一部に使用されていましたが、人体への悪影響が確証されてからは、使用・販売が禁止されています。しかし、アスベストが使用された建物は未だ多く存在していて、それらの建物の解体工事のピークは、2020年ごろに来ると予測されています。この記事では、アスベストが人体に及ぼす影響や、実際にアスベストを巡って日本で起こっている問題について紹介した後に、解体工事の依頼について説明していきます。
まず、覚えておいてほしいのが、アスベストそのものが直ちに危険なものになるのではなく、解体工事などによって飛び散り、人がそれを吸い込んでしまうことが問題なのである、ということです。アスベストを吸い込んでしまうことで人体への悪影響が出る可能性があることがわかっています。その危険を防止するために、アスベストに関しては、法律などで厳しく取り締まりが行われています。
まずアスベストは、日本語では「石綿」と呼ばれます。アスベスト(石綿)は、天然の鉱物繊維のことです。
①非常に細かい繊維である
②熱、摩擦、酸、アルカリに強い(耐熱性、耐薬品性に優れている)
③曲げや引っ張りに強い
④電気絶縁性に優れている
⑤安価である
上記のような特徴があるため、建築資材として重宝され、工業用として多く用いられるようになりました。アスベストが工業用に多く使われるようになったのは戦後からで、1970年代から1990年代の高度経済成長期の時代がアスベストが日本国内に輸入されたピーク期でした。
しかしその後、アスベストの発がん性が明らかになったため、昭和50年に吹き付けアスベストの使用・製造が法律で禁止され、平成16年には、石綿に関する建材などの輸入、製造、使用が禁止されることとなりました。
それでは、アスベストが人体に及ぼす悪影響とは具体的にはどんなものなのでしょうか。
厚生労働省の調査では、アスベストを吸い込むと、15~40年の長い潜伏期間を経てから、肺がんの原因になる悪性中皮腫という悪性の腫瘍が発生し、肺がんなどを発症するリスクが高まるとされています。現在では、比較的若い時期にアスベストを吸い込んだ人のほうが悪性中皮腫になりやすいということがわかっています。しかし、どのくらいの量のアスベストを吸い込むと、悪性中皮腫になってしまうのかは、はっきりしていないのが現状です。
日本では、「建設アスベスト訴訟」が相次いで起こされています。これは、建設現場で、アスベストの健康被害を受けたとして元作業員らが建材メーカーを訴えるという出来事で、平成20年から全国の裁判所にて相次いで訴訟が起きているほど、とても大きな問題となっています。厚生労働省によると、2020年12月16日時点で、建設アスベストの健康被害を訴えた集団訴訟はこれまでに全国で20件余りで、原告は1100人以上に上るといいます。
アスベストが原因の肺疾患を患ってしまった場合は、労働災害保険が下りる場合があります。業務上、石綿にさらされた事により石綿肺、肺がん、中皮腫など、石綿との関連が認められる疾病にかかった場合が労働災害保険の対象となります。
そして、建設作業中などに従事した際にアスベストを吸って肺がんなどを発症し2017年度に労災認定を受けた人は1039人でした。すでに死亡した15人の遺族に対しては、国が特別給付金を支給することが決まっています。
このようにアスベストは吸い込んでしまった人の身体に悪影響を与えるだけでなく、その周りの人々や社会にまで大きな負担を与えてしまう恐ろしいものだということができます。アスベストによる被害をこれ以上起こさないためにも、解体作業の前には、依頼する本人もアスベストに関する正しい知識を身に着けて、正しい業者選びをすることが大切です。
建物の解体作業を行うときは、アスベスト(石綿)の有無を調査しなければなりません。設計図書や目視で確認する方法もありますが、専門の業者に依頼するのが一番確実で安心できる方法だと言えます。
環境省では、アスベストが使用されている建築物又は工作物の解体等の作業を行うときは、大気汚染防止法に基づき、アスベストの除去等に係る一連の作業を開始する14日前までに、都道府県等に届出を行い、アスベスト飛散防止のための作業基準を遵守しなければならないとしています。なお労働安全衛生法や廃棄物処理法等の遵守も必要です。
このように、手続きにはある程度の時間がかかることが予想されるため、解体工事の依頼をする際は、時間に余裕をもって依頼するようにしましょう。
アスベストは、その存在自体が有害なものなのではないので、正しい準備をして解体作業を行えば、人体に悪影響を及ぼす心配はありません。しかし未だにアスベストが使われた建築物、工作物は多く残っているので、「自分が依頼する建物も、もしかしたら…」という気持ちを持って、アスベストの有無の確認は怠らないようにしましょう。それが結果的に自分自身や周りの人々を守ることへと繋がっていくのです。
まず、覚えておいてほしいのが、アスベストそのものが直ちに危険なものになるのではなく、解体工事などによって飛び散り、人がそれを吸い込んでしまうことが問題なのである、ということです。アスベストを吸い込んでしまうことで人体への悪影響が出る可能性があることがわかっています。その危険を防止するために、アスベストに関しては、法律などで厳しく取り締まりが行われています。
アスベストとは一体何なのか
まずアスベストは、日本語では「石綿」と呼ばれます。アスベスト(石綿)は、天然の鉱物繊維のことです。
アスベストの特徴
①非常に細かい繊維である
②熱、摩擦、酸、アルカリに強い(耐熱性、耐薬品性に優れている)
③曲げや引っ張りに強い
④電気絶縁性に優れている
⑤安価である
上記のような特徴があるため、建築資材として重宝され、工業用として多く用いられるようになりました。アスベストが工業用に多く使われるようになったのは戦後からで、1970年代から1990年代の高度経済成長期の時代がアスベストが日本国内に輸入されたピーク期でした。
しかしその後、アスベストの発がん性が明らかになったため、昭和50年に吹き付けアスベストの使用・製造が法律で禁止され、平成16年には、石綿に関する建材などの輸入、製造、使用が禁止されることとなりました。
人体への影響とは
それでは、アスベストが人体に及ぼす悪影響とは具体的にはどんなものなのでしょうか。
厚生労働省の調査では、アスベストを吸い込むと、15~40年の長い潜伏期間を経てから、肺がんの原因になる悪性中皮腫という悪性の腫瘍が発生し、肺がんなどを発症するリスクが高まるとされています。現在では、比較的若い時期にアスベストを吸い込んだ人のほうが悪性中皮腫になりやすいということがわかっています。しかし、どのくらいの量のアスベストを吸い込むと、悪性中皮腫になってしまうのかは、はっきりしていないのが現状です。
アスベストを取り巻く訴訟問題
日本では、「建設アスベスト訴訟」が相次いで起こされています。これは、建設現場で、アスベストの健康被害を受けたとして元作業員らが建材メーカーを訴えるという出来事で、平成20年から全国の裁判所にて相次いで訴訟が起きているほど、とても大きな問題となっています。厚生労働省によると、2020年12月16日時点で、建設アスベストの健康被害を訴えた集団訴訟はこれまでに全国で20件余りで、原告は1100人以上に上るといいます。
アスベストが原因の肺疾患を患ってしまった場合は、労働災害保険が下りる場合があります。業務上、石綿にさらされた事により石綿肺、肺がん、中皮腫など、石綿との関連が認められる疾病にかかった場合が労働災害保険の対象となります。
そして、建設作業中などに従事した際にアスベストを吸って肺がんなどを発症し2017年度に労災認定を受けた人は1039人でした。すでに死亡した15人の遺族に対しては、国が特別給付金を支給することが決まっています。
このようにアスベストは吸い込んでしまった人の身体に悪影響を与えるだけでなく、その周りの人々や社会にまで大きな負担を与えてしまう恐ろしいものだということができます。アスベストによる被害をこれ以上起こさないためにも、解体作業の前には、依頼する本人もアスベストに関する正しい知識を身に着けて、正しい業者選びをすることが大切です。
解体工事を依頼する
建物の解体作業を行うときは、アスベスト(石綿)の有無を調査しなければなりません。設計図書や目視で確認する方法もありますが、専門の業者に依頼するのが一番確実で安心できる方法だと言えます。
環境省では、アスベストが使用されている建築物又は工作物の解体等の作業を行うときは、大気汚染防止法に基づき、アスベストの除去等に係る一連の作業を開始する14日前までに、都道府県等に届出を行い、アスベスト飛散防止のための作業基準を遵守しなければならないとしています。なお労働安全衛生法や廃棄物処理法等の遵守も必要です。
このように、手続きにはある程度の時間がかかることが予想されるため、解体工事の依頼をする際は、時間に余裕をもって依頼するようにしましょう。
まとめ
アスベストは、その存在自体が有害なものなのではないので、正しい準備をして解体作業を行えば、人体に悪影響を及ぼす心配はありません。しかし未だにアスベストが使われた建築物、工作物は多く残っているので、「自分が依頼する建物も、もしかしたら…」という気持ちを持って、アスベストの有無の確認は怠らないようにしましょう。それが結果的に自分自身や周りの人々を守ることへと繋がっていくのです。
2021.1.29