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自然災害によって家が損壊したら申請するべき「罹災証明書」とは?

近年、日本全国で猛威を奮っている自然災害。「地震大国日本」とも言われ、防災設備や防災訓練などがしっかりしているため「災害に強い国」と言われてきましたが、地震以外にも記録的豪雨や台風の影響で川が氾濫したり、屋根が吹き飛ばされたり、土砂災害などが起きたり、異常気象と呼ばれるような自然災害に見舞われることが多くなり、毎年のように全国各地で甚大な被害をもたらしています。本記事では、そんな状況だからこそぜひ知っておきたい「罹災証明書」について詳しくご紹介します。

 

「罹災証明書」とは?


「罹災証明書」とは、地震や台風などの自然災害や火災などによって住居が損壊してしまった際に、「被害の状況を公的に証明するもの」として発行される証明書のことです。住居の損壊の程度によって「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」に分けられます。また、火災による「全焼」や「半焼」、大雨や台風などの洪水や津波による「床上浸水」や「床下浸水」も被害の基準として設けられており、この「罹災証明書」がないと、保険が受けられなかったり必要な支援が受けられなかったりするので、被害に遭ったらなるべく早めに申請する必要があります。

以下では、住居が被害にあった場合の「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」の基準についてご紹介します。

 

全壊


「全壊」とは漢字の通り、災害によって住居が全て壊れてしまうことです。完全に倒壊してしまった場合や、損壊の程度がとても大きく、修繕しても元のように居住することが困難な場合に使われる状態を表す言葉です。具体的な数値としては、損壊部分の床面積が住居全体の7割以上になってしまった場合や住居の経済的損害が住居全体の半分以上に到達した場合に適応されます

 

大規模半壊


損壊の程度がとても大きく、大規模な修繕をしないと元のように居住することが困難な状況を「大規模半壊」といいます。大規模な修繕によって再び居住できるようになるか、ならないかが、「全壊」と「大規模半壊」の大きな違いです。具体的な数値としては、損壊部分の床面積が住居全体の5割以上7割未満ある場合や、住居の経済的損害が住居全体の40%以上半分未満の場合に適応されます。

 

半壊


「半壊」とは、住居が損壊しながらも、修繕作業を行えば元のように居住することができる場合に指定されます。具体的な数値としては、損壊部分の床面積が住居全体の2割以上5割未満ある場合や、住居の経済的損害が住居全体の2割以上4割未満の場合に適応されます。

 

一部損壊


「一部損壊」とは、上記で上げた基準よりも低い損壊具合であるものの、修繕をする必要がある場合に指定されます。具体的な数値としては、損壊部分の床面積が住居全体の2割未満である場合や住居の経済的損害が住居全体の2割未満の比較的軽い損壊の場合に適応されます。

上記のように「罹災証明書」が発行されるのは、原則として人が住んでいる建物が被害にあった場合ですが、自治体によっては、人的被害(人が行方不明になったり、怪我をしてしまった場合など)や農作物の被害についても支援の対象にしているところもあります

 

「罹災証明書」発行までの流れ


地震や津波、台風や洪水などの自然災害や火災によって実際に自宅が損壊してしまった場合は、どのように「罹災証明書」を発行すれば良いのでしょうか。ここでは、「罹災証明書」発行までの流れをご紹介します。

 

「罹災証明書」の申請


まず初めに申請の窓口ですが、自然災害による被害は「市町村役場」、火災による被害の場合はその地域の管轄である「消防署」となっています。申請に必要な書類は、「身分証明書」、「現状の写真(被害状況がわかる写真)」、「公共料金の領収書などの居住していたことを証明する書類(住民票と被災した建物の住所が異なる場合)」、「管理組合の名称と代表者の氏名が明記されている書類(マンションなど管理者がいる場合)」です。

 

調査員による現地調査


申請が認められたら、専門の研修を受けた調査員が2人以上で現地に趣き、被害状況の調査をします。この調査員は内閣府が作成した「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」という詳細に決められた項目に沿って調査をしていくので、建築に関する資格を有していない調査員でも、地域差や個人差を出すことなく正確に調査をすることができます。具体的に調査員が見るポイントとしては、住居の外観の状態や住居の傾斜などです。必要があれば、第2次調査として住居内部の損傷具合も確認されます。

 

「罹災証明書」の発行


専門の調査員による調査が終了したら、その結果を踏まえて「罹災証明書」が発行されます。現地調査が行われてから発行までにかかる期間は、自治体にもよりますが、最低でも1週間はかかります。また、調査結果に納得が行かない場合は、不服の申し立てが可能です。必要があると判断された場合には再調査が為されます。

 

「罹災証明書」申請の注意点


「罹災証明書」は公的な証明書なので、証明書として使用できる期間や申請できる期間には限りがあります。以下では、「罹災証明書」を申請するに当たり注意すべきポイントをご紹介します。

 

申請期限


注意するべきポイントの1つ目は「罹災証明書」の申請期限です。災害の規模によって申請期限が延長される場合もありますが、原則は災害が発生してから3ヶ月以内となっています。この申請期限を過ぎてしまうと、保険が降りなかったり災害支援などが受けられなくなったりするので、災害に巻き込まれてしまったら、なるべく早めに申請するようにしましょう。

 

有効期限


注意するべきポイントの2つ目は「罹災証明書」の有効期限です。「罹災証明書」は「住民票」や「戸籍謄本」などと同様に、公的書類として有効とされる期限が設けられています。支援制度や地域差はありますが、発効日から2週間〜3ヶ月以内が有効期間とされていることが一般的です。せっかく発行しても、この有効期限を過ぎてしまっていては証明書として使えなくなってしまうので、何ヵ月以内に取得したものが使用可能なのか、有効期限を事前に調べておくことをおすすめします。

 

まとめ


いつどこで起こるかわからない自然災害や火災。居住している場所が被災したら、パニックでどのように対処したら良いのかわからなくなってしまうと思います。そんな、いざという時のためにも「罹災証明書」について詳しく理解し、期限や申請方法を調べておくことはとても大切です。申請期限や有効期限などにも注意して、きちんと災害手当や保険を受けられるようにしましょう。

2021.7.22