あんしん匠サポートセンター

解体業者の選び方

解体工事における安全対策と安心安全な環境づくりについて

解体工事はその工事の性質上、様々な危険性を孕んでいます。実際の現場では、日常生活であまり見かけない重機や機械を用いて家屋や建物の解体作業を行いますが、車輌や壁との衝突に、重機の横転、足場の崩壊などといった様々な事故が毎年全国で発生しています。

想像しただけでも怖いですよね。この記事では、そんな解体工事の現場において、より安心安全な労働環境を実現するために実際に導入されている、国が規定した法律や規則、そして工事の受けもつ会社が取り組んでいる活動についてご紹介します。

 

安心安全の実現に向けた法律と規則について


現場では先述したような痛ましい事故を未然に防ぐために、工事をする上で重要な安全面の対応について記された大きく二つのルールが国によって定められています。

 

労働安全衛生法


従業員が安心で快適な職場環境を実現するために作られた法律が、「労働安全衛生法」です。この法律では、事故の防止対策や労働者の危険を排除するための措置などに加え、機械や重機、危険物に関する規程などについて言及されています。

 

労働安全衛生規則


先ほどの労働安全衛生法は現場重視だったことに対し、こちらの「労働安全衛生規則」では、現場の安全実現に加え、労働者の身体的衛生について記されいます。例えば、古い建造物を取り壊す際に発生する有害物質「アスベスト」に関する飛散防止についてや、解体工事で使用する機械の規制対象について、工事現場における免許や講習についてなども記載されています。

危険が多い現場だからこそ、国が決めた厳格なルールがあり、それに則ることで安心安全な労働環境が実現されているのですね。

 

国土交通省の定めたガイドラインについて


工事現場におけるルールは、国が決めた法律や規則の他にも、国土交通省が安心安全な現場づくりのために作成したガイドラインがあります。

 

ガイドライン作成のきっかけと内容


このガイドラインは、静岡県で起こった解体工事の大きな事故を受けて制定されました。二度とそのようなことが起こらないよう、現場で守るべきルールの他に、解体する建物の特徴に応じて注意する点や、想定外の事態の対処法についてなどが記されています。

増築された建築物や、溶接された鉄鋼の分解、事前調査時で見るべきポイントなど、建物の持つ様々な特性とそれに応じた解体の進行について詳しく記載されています。
国が定めた法律や規則に加え、建物別でより細かい視点で注意点が記されていることで、さまざまな事例に柔軟に対応できるようになっているのです。

 

解体業者による独自の安全対策


日本の工事現場では、法律や規則、ガイドラインなどに基づき労働者に安心安全な環境を用意できるよう、現場では様々な対策が行われています。そして、その他にも解体業者が独自に定めている規程があります。それは危険予知活動(KY・KYK活動)です。

 

危険予知活動(KY・KYK活動)とは


危険予知活動(KY・KYK活動)とは、コミュニケーションを用いて、現場における危険な場所や、難しい工程、留意すべきポイントなどを作業開始前にチームで共有し、適切な解決策を持ち合わせることで、チーム全体の安全意識を高めていこうという活動です。

こちらは工事を受け持つ業者によって多少の違いはありますが、現場の視点で、当事者として安全について考え、行動する方針を立てるということは共通しています。

現場に基づいた視点でチームと計画を立てることで、より具体的な対策や、危険の可能性に気づき、もしもの時も素早く対応することができます。
国の定めたルールだけでなく、現場での事細かな努力が安全な労働環境の実現につながっています。

 

工事前の事前調査


今まで紹介した法律や規則は、主に工事をする際、労働者や安全な環境の実現における注意点、留意すべきポイント、そしてその対策について言及していました。解体の現場では、このような安心安全な環境づくりや従業員の保護、さらには、近隣トラブルを避けるための事前調査も重要なポイントとなっています。

 

入念な調査


重機を使用する際、隣り合う建物に傷を付けないかどうかや、ブロック塀の所有権の確認、図面等を用いて排水管等の地中物の有無、そして、解体する建物の持つ庭や設置されている処分品などの取り扱い、足場の設置法についてなど。工事着手前に依頼主やその土地の特性等を十分に鑑みる調査を行っています。

現場では、ただその場で安全確認を行い、作業を行うのではなく、依頼主や近隣住人の方々と緻密な意思疎通を図った上で、より最適な解体計画を立案することが心がけられています。

 

まとめ


危険で怖いイメージを持たれがちな解体工事。様々な重機を使用する現場は常に危険と隣り合わせです。しかし、そのような危険な現場だからこそ、ここまで紹介したように国の視点だけでなく、省庁、そして当事者といったミクロな視点を持ち、現場と向き合うことが重要となります。

国の定めた法律、省庁の定めた方針、各業者が独自に定めた安全対策、そして入念かつ慎重な事前調査などを行うことが、従業員の保護と、安心安全な環境の形成、そして依頼主や近隣住民の方々との円滑な関係を構築する上で大切です。

この記事を読んでいただいた皆様の不安が少しでも和らぐきっかけになれば幸いです。

2021.2.27