解体工事によせられた苦情の責任って誰が取るの?依頼主が必要な対応とは
家やビルなどの解体工事は、日常生活の中で当たり前に行われています。そんな解体工事には、近隣住民からの苦情が寄せられる場合が多くあり、大きなトラブルにもなりかねません。今回は、実際に解体工事現場に寄せられた苦情とその対処法から、解体工事の苦情に対する依頼主の責任の取り方について考えていきます。
日常生活の中で、家やビルなどの建物の解体工事は当たり前に行われています。建物の建て替えのために必要な解体工事には、近隣住民からの苦情が寄せられる場合が多くあり、大きなトラブルにもなりかねません。
そもそもこのような苦情に対して誰が責任を取るのでしょうか?
実際にどんな苦情が寄せられ、どのような対応が必要なのでしょうか?
今回は、実際に解体工事現場に寄せられた苦情とその対処法から、依頼主の責任の取り方について考えていきます。
まず、実際に解体工事に寄せられる苦情の一部を紹介します。
解体工事の苦情には、周辺の建物から寄せられる損傷やヒビという目に見える苦情だけでなく、近隣住民からは寄せられる騒音や塵埃、振動などの目には見えない苦情も多く寄せられます。また、路上駐車や働いている人に対しての苦情も寄せられ、苦情の種類は様々です。
「自宅の基盤、自宅の内装にヒビが入りました。」
このように、解体工事の影響により周辺住宅の基盤や内装にヒビなどの損傷が生じてしまう場合があります。
ここで注意していただきたいのは、本当にその損傷が解体工事によってできたものなのかということです。隣の家が解体された場合、今まで見えていなかった外壁や基盤が見え、もともと出来ていた傷と混同してしまう場合があります。
「近所の解体工事の音と振動がひどくて、子供を寝かせられません。」
解体工事の際に一番多い苦情が騒音だと言われています。騒音規制法では、解体工事の際に出る騒音の基準として85デシベルまでと定めています。騒音規制法とは、工場や事業場での事業活動や建設工事によって発生する騒音について必要な規制を行うことを目的としているものです。
また、振動に関しては75デシベルが許容範囲として振動規制法で定められています。
ちなみに80デシベルは、地下鉄の車内、電車の車内、1mで聞いたピアノの音と言われ、90デシベルはカラオケの店内や犬の鳴き声と言われています。
参考:環境省 騒音規制法概要
「埃が洗濯物について外に干せません。」
塵埃は目には見えにくい苦情であり、定められて基準もないのでとても対応が難しい対応の一つです。洗濯物や外壁への被害だけでなく、人体への影響も考えられる苦情なので、注意が必要です。解体業者は定期的に水をまくなどの対応が必要とされています。
意外と見逃しがちな苦情として、路上駐車や解体作業員への苦情があります。近隣住民の方々の生活圏の中で工事を進めなければいけないので、近隣住民が普段の生活を送ることができるよう、細心の注意を払う必要があります。
解体現場や解体業者には様々な種類の苦情が寄せられ、早急な対応が求められます。具体的に依頼主にはどのような対応ができるのか見ていきましょう。
まずは事前に、解体業者や建設会社の方々に苦情に対する実績や、どう対処するのかについて聞いておくことが大切です。依頼主が直接、近隣住民の方々へ挨拶に行く場合もありますが、一番は現場で解体工事を行う解体業者や建設業者が挨拶に行くことが重要です。
工事内容を一番理解する現場の方々が、説明することで、工事をスムーズに進めることができます。何かあった時に対応するのは解体業者になるので、前もって解体業者や建設業者の担当者や窓口になる方を一緒に決めておきましょう。
近隣住民や近隣の施設からの苦情が、建設会社や解体業者を超え、依頼主に届いた場合大きなトラブルになることが考えられます。そのため、苦情を頂いた内容だけでなく、日時や状況を細かく記録しておくことが必要です。また、その苦情に対応した建設会社や解体業者の様子や対応方法も写真や録音、メモで残しておきましょう。
基本的に依頼主は、民法第716条によると、請負人がその仕事につき第三者に与えた損害を賠償する責を負わないのが原則であり、基本的には解体業者の責任となります。
しかし、民法第716条によると依頼主が解体の方法を指示し、その指示に過失がある場合は依頼主も損害賠償の責任があります。
民法716条
具体的な対策の一つとして、防音シート、養生シートの対策をしっかり確認しておくことが重要になります。依頼主は、事前に解体業者や建設業者と綿密なコミュニケーションを取り、細部まで確認しておきましょう。
近隣住民からの苦情には悪質なものもあり、慰謝料等の請求をしてくる場合があります。無理な要望や、基準値を超えていない騒音などに対しては、原則慰謝料等を請求されることはありません。もし、そのような悪質な苦情の場合は、警察や弁護士にすぐに相談しましょう。
日常の中で当たり前に行われている解体工事には様々な苦情がよせられます。依頼主にとって最も重要なことは、建設会社、解体業者との事前相談です。それでも苦情が寄せられた場合は、基本的に依頼主の責任になることはありません。建設業者や解体業者の方々の対応が求められます。
依頼主は、近隣住民の方々への挨拶回りも、解体業者の方々に同行して誠意を伝えることも必要になります。依頼主としても、近隣住民の方々へ迷惑をかけてしまっている、日常生活の邪魔をしてしまっているというような意識を持つことも重要です。
そして、建設業者や解体業者の選択から慎重に行うことで、スムーズに進めることができるでしょう。
日常生活の中で、家やビルなどの建物の解体工事は当たり前に行われています。建物の建て替えのために必要な解体工事には、近隣住民からの苦情が寄せられる場合が多くあり、大きなトラブルにもなりかねません。
そもそもこのような苦情に対して誰が責任を取るのでしょうか?
実際にどんな苦情が寄せられ、どのような対応が必要なのでしょうか?
今回は、実際に解体工事現場に寄せられた苦情とその対処法から、依頼主の責任の取り方について考えていきます。
実際に寄せられた苦情って?
まず、実際に解体工事に寄せられる苦情の一部を紹介します。
解体工事の苦情には、周辺の建物から寄せられる損傷やヒビという目に見える苦情だけでなく、近隣住民からは寄せられる騒音や塵埃、振動などの目には見えない苦情も多く寄せられます。また、路上駐車や働いている人に対しての苦情も寄せられ、苦情の種類は様々です。
周辺住宅への損傷
「自宅の基盤、自宅の内装にヒビが入りました。」
このように、解体工事の影響により周辺住宅の基盤や内装にヒビなどの損傷が生じてしまう場合があります。
ここで注意していただきたいのは、本当にその損傷が解体工事によってできたものなのかということです。隣の家が解体された場合、今まで見えていなかった外壁や基盤が見え、もともと出来ていた傷と混同してしまう場合があります。
騒音、振動
「近所の解体工事の音と振動がひどくて、子供を寝かせられません。」
解体工事の際に一番多い苦情が騒音だと言われています。騒音規制法では、解体工事の際に出る騒音の基準として85デシベルまでと定めています。騒音規制法とは、工場や事業場での事業活動や建設工事によって発生する騒音について必要な規制を行うことを目的としているものです。
また、振動に関しては75デシベルが許容範囲として振動規制法で定められています。
ちなみに80デシベルは、地下鉄の車内、電車の車内、1mで聞いたピアノの音と言われ、90デシベルはカラオケの店内や犬の鳴き声と言われています。
参考:環境省 騒音規制法概要
塵埃
「埃が洗濯物について外に干せません。」
塵埃は目には見えにくい苦情であり、定められて基準もないのでとても対応が難しい対応の一つです。洗濯物や外壁への被害だけでなく、人体への影響も考えられる苦情なので、注意が必要です。解体業者は定期的に水をまくなどの対応が必要とされています。
路上駐車や解体作業員
意外と見逃しがちな苦情として、路上駐車や解体作業員への苦情があります。近隣住民の方々の生活圏の中で工事を進めなければいけないので、近隣住民が普段の生活を送ることができるよう、細心の注意を払う必要があります。
苦情に対して依頼主ができる対策は?
解体現場や解体業者には様々な種類の苦情が寄せられ、早急な対応が求められます。具体的に依頼主にはどのような対応ができるのか見ていきましょう。
事前準備
まずは事前に、解体業者や建設会社の方々に苦情に対する実績や、どう対処するのかについて聞いておくことが大切です。依頼主が直接、近隣住民の方々へ挨拶に行く場合もありますが、一番は現場で解体工事を行う解体業者や建設業者が挨拶に行くことが重要です。
工事内容を一番理解する現場の方々が、説明することで、工事をスムーズに進めることができます。何かあった時に対応するのは解体業者になるので、前もって解体業者や建設業者の担当者や窓口になる方を一緒に決めておきましょう。
依頼主で苦情が届いた場合
近隣住民や近隣の施設からの苦情が、建設会社や解体業者を超え、依頼主に届いた場合大きなトラブルになることが考えられます。そのため、苦情を頂いた内容だけでなく、日時や状況を細かく記録しておくことが必要です。また、その苦情に対応した建設会社や解体業者の様子や対応方法も写真や録音、メモで残しておきましょう。
苦情の責任って依頼主になるの?
基本的に依頼主は、民法第716条によると、請負人がその仕事につき第三者に与えた損害を賠償する責を負わないのが原則であり、基本的には解体業者の責任となります。
しかし、民法第716条によると依頼主が解体の方法を指示し、その指示に過失がある場合は依頼主も損害賠償の責任があります。
民法716条
具体的な対策の一つとして、防音シート、養生シートの対策をしっかり確認しておくことが重要になります。依頼主は、事前に解体業者や建設業者と綿密なコミュニケーションを取り、細部まで確認しておきましょう。
注意点
近隣住民からの苦情には悪質なものもあり、慰謝料等の請求をしてくる場合があります。無理な要望や、基準値を超えていない騒音などに対しては、原則慰謝料等を請求されることはありません。もし、そのような悪質な苦情の場合は、警察や弁護士にすぐに相談しましょう。
まとめ
日常の中で当たり前に行われている解体工事には様々な苦情がよせられます。依頼主にとって最も重要なことは、建設会社、解体業者との事前相談です。それでも苦情が寄せられた場合は、基本的に依頼主の責任になることはありません。建設業者や解体業者の方々の対応が求められます。
依頼主は、近隣住民の方々への挨拶回りも、解体業者の方々に同行して誠意を伝えることも必要になります。依頼主としても、近隣住民の方々へ迷惑をかけてしまっている、日常生活の邪魔をしてしまっているというような意識を持つことも重要です。
そして、建設業者や解体業者の選択から慎重に行うことで、スムーズに進めることができるでしょう。
2020.11.1